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「鳥肌を超えて、血が逆流していく」
ハーフナーが代表に抱く興奮と欲求。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byAsami Enomoto

posted2016/03/28 18:00

「鳥肌を超えて、血が逆流していく」ハーフナーが代表に抱く興奮と欲求。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

背が高い、というのは既に圧倒的な特殊能力である。マイクの成長は、そのまま日本代表の力になる。

体重を増やすために、クッキーやトースト!?

 移籍先も簡単には決まらず、中国スーパーリーグからのオファーも報じられるなか、'15年3月にフィンランドのヘルシンキに移籍する。同国の強豪クラブとはいえ、リーグのレベルはガクッと落ちる。レアルの本拠サンティアゴ・ベルナベウでシーズンインしながら、その8カ月後には観客が500人ほどしか集まらない試合が待っていた。

 レベルや盛り上がりに落差を感じながらも「モチベーションを上げていかなきゃいけなかった」と仕切り直すような思いでサッカーに取り組んだ。「そのときは代表(復帰)のこともさすがに考えられなかった」という。

 ヘルシンキで短期間過ごし、その年の夏に父ハーフナー・ディドも在籍したADOデンハーグに移籍を果たす。それ以降の活躍は、言うまでもないだろう。

 移籍初戦となったトゥエンテ戦を皮切りにここまで欧州で自己最多の13ゴールを挙げて、得点ランキングでは8位に顔を出している。筋トレに加えて意識的に体重を88kgまで増やし、競り合いにも強い肉体をつくってきた。元々、太りにくい体質。フィテッセ時代にはこう語っていた。

「間食にクッキーやトーストとか多少、無理して食べているんです。今は試合が終わったらグッと体重が落ちて、1週間食べて85kgぐらいに戻す感覚。90kg近くいければ、もっといいと思う」

オランダで取り戻した「いいサイクル」。

 継続的な取り組みと、紆余曲折の経験。

 時を経て、マイクは言った。

「自分のなかではまだまだ。でもオランダに戻ってきてから、ちょっとずつまたいいサイクルに入ってきたかなとは思っています」

 活躍の先に、今回の日本代表復帰が待っていた。

 ザックジャパンでは東欧遠征を最後にメンバーから外れた。アギーレジャパンでは1回こっきりの招集だった。それでもあきらめることなく、サムライブルーのユニホームに袖を通すことを目指してきた。

【次ページ】 代表デビュー時の「血が逆流していく感じ」。

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ハーフナー・マイク
ヴァイッド・ハリルホジッチ

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