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青木宣親「普通にやれば数字は残る」
昨年は死球で逃した3割200本安打へ。 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2016/03/20 10:40

青木宣親「普通にやれば数字は残る」昨年は死球で逃した3割200本安打へ。<Number Web> photograph by AFLO

マリナーズがメジャーで4チームめとなる青木宣親。アメリカでは一度も達成していない打率3割に今年こそ手が届きそうだ。

マリナーズが青木を求めた理由はたくさんある。

 マリナーズが青木を求めた理由は一つではない。出塁率の高い一番打者。簡単には三振しない打者。バットコントロールが巧く、進塁打を打てる打者。足が速く、塁に出れば相手バッテリーにプレッシャーを与え、後続打者が速球を狙い易くなる選手……等々。その中には当然、「左打者だが、左投手を得意にしている」や、「外野なら、どこでも守れる」という項目も含まれている。

「そういうところを評価されてここに来たんだと思っているし、自分のプレーができれば結果は残る」

 という青木の2016年は、傍から見れば昨季の雪辱を果たすシーズンということになる。

 2015年、前半戦は絶好調だった。6月20日までは打率.317とメジャー移籍後最高の数字を残していたが、死球からの欠場というアクシデントに、2度にわたって見舞われた。1度目は右足の骨折。2度目は頭部直撃で脳震とう。野球の怪我としては重傷の部類に入る。

 どちらも復帰には至ったものの、完全に復調することはなく、結局、93試合の出場に留まって打率も.287。死球の前は十分達成可能に思えた「打率3割、200安打」という目標に届かず、不完全燃焼のシーズンとなった。

「普通にやれば数字は残るから」という自負。

 怪我さえなければ、きっと過去最高の成績が残っていたはずの2015年。そこからの巻き返しに周囲は期待する。

「そういう位置付けはしてないけど、普通にやれば数字は残るから。今はその準備をしている段階」

「普通にやれば」に、メジャー5年目の自負が宿る。実際、青木が早朝から打撃練習に取り組む姿は今年も同じ。打撃についてあれこれ考え尽くすのも例年と同じ。優雅に泳ぐ白鳥が水面下で必死になって水をかいているかの如く、前に進むための努力を緩めることはない。

「毎年、同じことの繰り返し。新しい球団に来て選手たちの顔を覚えたりするのも毎年、やってること。でも、マリナーズはクラブハウスで一緒に生活していて、初めての感じがしない。球団が日本人に慣れているっていうのもあるのかな、と」

【次ページ】 “昔から知っている”打撃コーチに冗談も。

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青木宣親
シアトル・マリナーズ

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