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「憎らしいほど強いチームにしたい」
ガンバ大阪に今季、黄金期到来か。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2016/02/26 18:10

「憎らしいほど強いチームにしたい」ガンバ大阪に今季、黄金期到来か。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

若手も順調に成長。2014年にユースからトップチームに飛び級昇格した井手口陽介は着実にポジションを獲得しつつある。

ガンバに不足していた2枚の攻撃カード。

 長谷川監督が要請したのは、ガンバの中盤にいない左利きの攻撃的な選手だった。レフティの選手が右MFに入ると中央に広い視野を確保できるため、より効果的な攻撃を選択できるし、変化を生むことができる。そこで白羽の矢が立ったのが、清水の監督時代に指導した藤本淳吾だった。

「僕が右で作って左で決めるパターンがうまくハマれば」

 藤本は、ガンバでの攻撃パターンをそうイメージしたが、その“作り”こそまさにガンバに不足していたものだった。

 もうひとつは、能力の高い外国人選手の補強だった。西野朗政権時代、ガンバの外国人選手獲得の条件は日本でプレーし、実績を残した選手だった。日本のサッカーに慣れているので、フィットしやすく活躍が計算できるからだ。実際、過去に活躍したアラウージョ、マグノアウベス、バレーなどは、みなそういう選手だ。アデミウソンは、まさにガンバの獲得基準に合う選手だった。昨年F・マリノスで8得点を取り、攻撃のセンスの高さは折り紙付きだ。しかも、とてもブラジル人とは思えないほど、周囲をうまく使う。

中盤に「競争」という刺激を。

 異なる能力とスタイルを持つ2枚の攻撃のカードを手に入れたことで、昨年の課題をクリアできる環境が整った。

 もちろん、いい選手を入れたからといって攻撃面の課題すべてが解消できるわけではない。昨年、ACL準決勝の広州恒大戦に負けた後、遠藤保仁は「決定力不足という言葉で片付けられるものではない。いつも言うけど最後のところの個々の精度が大事。あと、選手同士の距離感や意外性というのが必要だと思います」と言った。個々の選手のレベルアップを課題として挙げていたのだ。

 ガンバの2列目には、宇佐美貴史を始め、倉田秋、阿部浩之、大森晃太郎、二川孝広ら能力の高い選手がそろう。昨年、19得点の宇佐美はシーズン前半戦は得点王を獲る勢いでゴールを量産していたが後半戦の大事なところで失速し、タイトル獲得に貢献できなかった。倉田や阿部、大森にしても持っている力からすれば数字的にも物足りなかった。2人の新加入は、停滞気味だった中盤に「競争」という刺激を与え、個々のレベルを押し上げてくれる役割も果たすだろう。

【次ページ】 倉田「オレ、試合に出れんのかなって思いますもん」

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