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マンUよ、早くモウリーニョ招聘を。
堕ちた名門に必要なのは即効性! 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2016/02/27 10:40

マンUよ、早くモウリーニョ招聘を。堕ちた名門に必要なのは即効性!<Number Web> photograph by AFLO

ファンハールは、マンUでの契約が終わったら監督を引退すると語ったこともある。

守備偏重という戦術面の不安も解消可能?

 戦術面では、モウリーニョの堅守路線とマンU伝統の攻撃路線のギャップも以前から指摘されている。ファンハール体制のマンUは、クラブのOBのポール・スコールズを「ストライカーがいても意味がない」とまで嘆かせる「守高攻低」が大きな問題。だがこの点に関しても、マンU経営陣は先入観を捨てて過去を振り返ってみるべきだ。

 モウリーニョが1度目の就任時にプレミアを制したチェルシーは、「1-0逃げ切り」のイメージとは裏腹に、4-3-3システムを基本に攻守に見応えのあるチームだった。'05年優勝時には、失点数をリーグ最少の「15」に抑えると共に、3位マンUを14点上回る72得点を上げている。翌シーズンの72得点は2位マンUと並ぶリーグ最多タイだ。

 一方のマンUも常に打ち勝ってきたわけではなく、王座を奪回した'07年からの3連覇のうち2度の優勝は、リーグ最少失点の守備力が物を言った。

若手育成能力はトップチーム監督の必須条件か。

 そして、モウリーニョは長期的な視野と若手育成の意識に欠けるとする意見。実際、長期政権を目指して臨んだはずの2度目のチェルシー時代も就任3年目に終焉を迎え、若手登用も積極的とは言えないままだった。

 但し現在のマンUは、長期展望を掲げるためにも、まずは即効性のある問題解決を必要としているように思える。フロントは、ファンハールが来季末の契約満了を待たずに去った場合でも、クラブ生え抜きで現助監督のライアン・ギグスに長期的な後任として指揮を任せたいようだ。しかし、「ファーガソン後」のチーム作りに失敗した集団を率いて、早期に内容と結果の両立を求められる環境は、正監督初挑戦のギグスには荷が重いだろう。

 育成面にしても、マンUのU-18チームは今季のFAユースカップで、チェルシーに惨敗(1-5)している状態だ。アカデミーの責任者には、前任者が去って1年近くを経てようやく、栄光の「'92年卒業生」の一員でもあるニッキー・バットの就任が決まったばかり。チーフスカウトも変わったアカデミー改革の成果が表れるまでには「3~5年かかる」との見方が一般的でもあり、その間にモウリーニョのような「優勝請負人」にトップチームを立て直させる策は有効だ。

【次ページ】 選手補強をスムーズに行なうためにもモウリーニョ。

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