「4勤」より厳しい「3勤」の意味とは？

　では、ホークスの選手たちはのびのび、ラクラクとした春季キャンプを送っているのか？

　王者の余裕なのか？

　いや、大間違いである。

　練習後や宿舎に戻ってからも選手のケアをするのがトレーナーの務め。新井富久1軍チーフトレーナーは「選手の体は悲鳴を上げていますよ」と話し、このように続ける。

「1クールが3日間になった分、1日1日の練習メニューの質が上がっています。特にランニング系ですね。みんな、下半身はパンパンですよ。4勤では体が持たないでしょうね」

　第2クール最終日の2月7日。朝の集合前に内川聖一にカメラを向けると、傍にいた上林誠知をわざわざ呼び寄せて笑顔でピースサインを作ってくれた。

「だって朝イチの今の時間しか笑えないですからね。今年のキャンプは過去に比べてしんどい。走る量が明らかに増えています。その中にジョギングの時間なんてない。メニューの内容を見ると、タイムとか距離とか目標設定されているものが多いから、とにかく一生懸命走るしかない（苦笑）」

　ベテランで実績十分のキャプテン内川にも容赦がないのだから、他の選手も言わずもがなである。

朝、ベッドから起き上がると身体が動かない……。

　このオフ期間を振り返っても、最も練習したチームはホークスだったのではなかろうか。

　昨年秋のキャンプは連日7、8時間のハードトレ。工藤監督からは「鬼なんて書くなよ。普通だよ」と言われたが、強化指定選手の1人だった千賀滉大はあの時「朝、ベッドから起き上がると下半身が筋肉痛で全く動かない。何度ベッドから転げ落ちたことか……」と苦悶の表情を浮かべていた。

【次ページ】　チームの全選手に渡された1冊のファイル。