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U-23が満たす「強いチームの条件」。
発言が似てきた手倉森監督と遠藤航。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2016/01/19 11:30

U-23が満たす「強いチームの条件」。発言が似てきた手倉森監督と遠藤航。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

特別な武器よりも、オールマイティであることを目指す遠藤航。その中には、当然タフネスも含まれているのだろう。

遠藤に誰よりも大きな課題を与える手倉森監督。

「ワタルはタフだからね。でも、日本代表の選手たちはもっとタフな環境でやっているから」と手倉森監督は笑顔で受け流したが、このときすでに、指揮官は最終予選の起用法をイメージしていたのである。

「キャプテンとしての責任感は、1次予選を終えたいまの時点でもしっかりある。そのうえで、最終予選ではもっとタフな相手と厳しい日程で戦わなければならない。そこでどれだけ無理が利くか。もちろんそれは、ワタルだけが問われることではないけれど、彼にはキャプテンとしてチームの先頭に立って示して欲しいから」

 指揮官の思いに、キャプテンも共鳴する。

「サウジ戦を待たずに2試合で首位通過が決まったのは、グループステージだけを考えれば理想的な展開と言えます。でも、まだリオ五輪出場が決まったわけではない。無駄な試合はひとつもないと思っていて、グループステージを突破できたからこそサウジ戦でチームの総合力を見せつけたい。チームの全員が同じ気持ちで同じサッカーができることを、見せつけたいんです」

中心選手と監督が結束しているチームは、強い。

 サウジ戦のテーマを「チームの総合力」とするのは、手倉森監督の狙いそのものである。指揮官がチーム作りの幹に据える「柔軟性」と「割り切り」、さらには「コントロール力」といったキーワードも、遠藤はしばしば口にする。A代表入りを後押しした戦術理解度の高さは、リオ五輪出場を目ざすチームでも群を抜くと言っていい。

 さらに加えて、最終予選突破のためにチームが搭載したDFラインの背後を狙う攻撃は、「奪ったボールを早くタテにつけるのは自分の良さ」というキャプテンの特徴にマッチしたものでもある。あらゆる意味において、手倉森監督のチームに欠かせない存在なのだ。

「北朝鮮戦の前から、練習の量を調整しながらコンディションを上げてきました。これからさらに試合を重ねるなかで、もっと良くなっていくと思います」

 チーム内でもっとも影響力の強い選手と監督の思いは、双方向で結びついている。結果を残すために重要な条件を、U-23日本代表は満たしている。

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