「お前がどこまで成長するか、俺も分からない」

「お前がどこまで成長するか、俺も分からない」と名将に言わしめた菊池は、ハイレベルな実戦を通して、水を得た魚のように急成長していく。選手権ではまさかの初戦敗退を喫したが、それでも大会優秀選手に選ばれ、日本高校選抜にも名を連ねた。

　ただ、スカウトなど関係者の評価は少しずつ高まっていたが、鈴木や増山などとは違い、世間の注目を浴びることなく高校生活を終えた。

　あれから1年。大阪体育大学に進学し、すぐにレギュラーを掴むと、1年を通じ不動のCBとして活躍。関西学生リーグの新人賞を獲得した。身長も187.5cmに伸び、より鍛えられたフィジカルと跳躍力を持つ、大学サッカー界でも1、2を争う「エアバトラー」になった。

　いまや複数のJクラブが獲得に向けて本腰を入れるほど、大学サッカー界の最注目銘柄の一人に挙げられている。

「高校のときはプロなんて考えられなかった。実際に具体的な話もなかったし、毎日が必死で考える余裕もなかった。でも、昨年、今年の2年間で、自分の伸びシロに気付くことができた。大体大に来て、プロになりたい、プロの中でもトップレベルの選手になりたい、という想いが日に日に明確になってきています」

　無印から高校3年で一気に頭角を現し、今や大学サッカー界を牽引する存在へ。信念を貫き続ける、今後の菊池から目が離せない。

高校サッカーでの思いを胸に、前進し続ける。

　3者3様のサッカー人生。昨年度の選手権で歓喜と屈辱、落胆と、それぞれ違う感情を味わった彼ら。それから1年経った今、彼らに共通するのは、常に前進をしているということ。

　成長の足がかりを掴んだ者。壁に打ち当たり、必死にもがこうとしている者。行き着く先には明るい未来があることを信じて、彼らはこれからも走り続ける。選手権、高校サッカーでの想いを胸に秘めながら――。