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勝点63のG大阪が2位、72の浦和が3位。
その順位表にサッカーへの愛はあるか。 

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近藤篤

近藤篤Atsushi Kondo

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posted2015/12/11 10:50

勝点63のG大阪が2位、72の浦和が3位。その順位表にサッカーへの愛はあるか。<Number Web> photograph by Atsushi Kondo

空席が目立った埼玉スタジアムに対して、三浦知良など多くの人から危惧の声も上がったが……。

CS準決勝の40,696人という観客数の理由。

 哀れにも最後の一戦で2位から3位に転落してしまった浦和レッズ目線で、今季のJリーグについてもう少し話そう。

 もう誰も覚えていないかもしれないけれど、CS決勝第1戦の数日前、11月28日の午後、浦和レッズは埼玉スタジアムでCS準決勝を戦い、ガンバ大阪に延長の末1-3で敗れた。2位であることのアドバンテージはホームでこの試合を戦えること、ただそれだけだった。

 当日、スタジアムに集まったのは40,696人の観客だった。リーグ最終節から1週間しかなかったこと、それがチケットの売り上げが伸びなかった主たる理由の一つであるかのようなチェアマンのコメントが後日発表されていたが、こと浦和に関しては若干違うような気がする。たとえ販売期間が1週間しかなくとも、ここぞという大一番で、埼スタは4万人しか集められないスタジアムではない。

 大きかったのは、結局のところレッズが自力で年間1位の座を手に入れられなかったことだ、と個人的には考えている。

サポーターが己に許せなかった譲歩。

 Jリーグが2シーズン制の再開案を打ち出した時、浦和レッズのサポーターたちは強硬に反対した。試合後のゴール裏には何十枚もの横断幕が掲げられ、2シーズン制は絶対に認められない旨を主張し続け、そこまで反対するかというぐらい反対した。

 しかし、Jリーグは2シーズン制を決める。

 納得がいかないから、応援にも行かない。そこまでドラスティックな抵抗を見せられるサポーターはたぶんいない。シーズンは始まり、サポーターたちはスタジアムに足を運ぶために、自分で自分に若干の譲歩をした。ならば、あくまでも年間1位にこだわろう、と。Jリーグがどうレギュレーションを変更しようと、我々にとって最も尊い価値観は、あくまでも年間勝点1位である、年間勝点1位こそが全てである、と。

 しかしながら、Jリーグ最終節、浦和は広島との間の勝点2差を埋められず、ファーストステージ勝者&年間勝点2位チームの立場で、CS準決勝へ駒を進めることとなった。ここでサポーターは自分へのさらなる譲歩を求められることとなった。あれほど反対した2シーズン制の、それも決勝ではなく準決勝のために埼スタへ足を運ぶか否か。少なからぬ数のレッズサポーターは、最終的にこれ以上の譲歩を己に許せなかったのではないだろうか。

【次ページ】 120分が過ぎた埼玉スタジアムのなんとも言えない空気。

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