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侍ジャパンよりも、各球団に問題が?
リリーフに外国人を揃える理由とは。 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNaoya Sanuki

posted2015/11/28 10:40

侍ジャパンよりも、各球団に問題が?リリーフに外国人を揃える理由とは。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

大谷翔平を筆頭に先発投手が安定感のある投球を発揮しただけに、リリーフの整備が急がれる。

データの少ない投手を、という韓国の継投策。

 継投策が際立ったのは準決勝の日本戦だ。日本は4回に3点挙げて勝利を手元に引き寄せていた。そして7回には2番坂本勇人、3番山田哲人が四球で出塁して無死一、二塁という絶好のチャンスを迎える。ここで韓国代表はシム・チャンミンからチョン・ウラムに代え筒香嘉智、中田翔、松田宣浩を抑える。

 8回には1死後、8番平田良介が左前打、9番嶋基宏が右前打で1死一、二塁のチャンスを作るが、1番秋山翔吾がセンターフライに倒れ、2番坂本を迎えたところで韓国はチョンからイム・チャンミンに代え、坂本を三振に切って取る。

 左打者には左投手という日本流のセオリーではなく、データの少ない投手を繰り出して打者を翻弄するという継投策である。日本はというと、9回に則本が3安打を許して1点を献上し、2番の左打者イ・ヨンギュを迎えたところで左腕の松井をリリーフに送る。左対左にこだわらず無死一、二塁の場面で投手交代があってもいいと思ったが、左対左のセオリーへのこだわり、さらに則本できれいに締めるという「品格重視」の采配が邪魔をしたと言っていいだろう。

2年後も、小久保監督に采配を振るって欲しい。

 さて、結果論で小久保采配を批判してしまったが、小久保監督は2年後のWBCでも采配を振るうべきだと思う。というのも、チャンス、ピンチに関係なく表情が常に一定し、試合後のコメントも情緒的になりすぎず、実力主義を貫いているのがいい。

 そもそも一流と評価される中で、失敗・挫折を経験していない監督など1人もいない。失敗は野球人としての引き出しを増やし、人間的な奥行きを作る効果のほうが大きいと思う。メジャーリーガーも出場するWBCを見据え、采配に一層の磨きをかけてほしい。

外国人リリーフ投手は近年増えている?

 今回のプレミア12を振り返って、問題はむしろ日常的に行われているペナントレースのほうにあると思った。最も大きな問題はリリーフ投手に外国人が多いことである。過去10年間の各球団の外国人抑え役を見てみよう。

 ソフトバンク……ファルケンボーグ、サファテ
 日本ハム……MICHEAL(マイケル)
 ロッテ……シコースキー
 西武……グラマン、シコースキー、サファテ
 楽天……ラズナー、ファルケンボーグ
 ヤクルト……林昌勇、バーネット
 巨人……クルーン、マシソン
 阪神……呉昇桓
 広島……サファテ、ミコライオ
 DeNA……クルーン、ソーサ

【次ページ】 中継ぎを加えても、外国人の多さは目につく。

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小久保裕紀

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