フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER

中国杯で天才ボーヤン・ジンが世界初!
4回転ルッツ+3回転トウループの衝撃。 

text by

田村明子

田村明子Akiko Tamura

PROFILE

photograph byShingo Ito/AFLO SPORT

posted2015/11/10 11:00

中国杯で天才ボーヤン・ジンが世界初!4回転ルッツ+3回転トウループの衝撃。<Number Web> photograph by Shingo Ito/AFLO SPORT

中国杯のメダリストたち。左から銀のボーヤン・ジン、金のハビエル・フェルナンデス、銅のハン・ヤン。

4ルッツの持つ、驚くべきポイントの高さ。

 プルシェンコのルッツや、羽生のループは、身体能力の並外れたトップ選手の“余裕の挑戦”である。

 だがこれまでの4回転ジャンプの先駆者たちのほとんどは、優勝候補の選手ではなかった。まだ全体評価がそこまでではなく、追っていく立場でリスクを覚悟でジャンプに挑戦していったケースが多い。実際はじめての記録を作った大会で優勝した選手のほうが少ないほどだ。

 だが1つ1つの技に具体的なポイントがついた現在の採点方式になってから、4回転ジャンプの価値はさらに上昇した。4回転ルッツのポイントは13.60と、このジャンプ1つで3回転アクセル+3回転トウループ以上のポイントを稼ぐことができるのである。

 今回は決してよいできではなかったものの、ジンはフリーで4回転を4度入れてきた。彼がこれだけのジャンプを着実に降りることができるようになれば、たとえ他の技術がジャンプほど優れていなくても、かなりの高得点が出ることは間違いない。

今後の男子にどう影響を与えるのか?

 これまで何度も、ジャンプの記録が更新されるごとに「フィギュアスケートはジャンプコンテストではない」という反発が強まり、それに対して「スポーツなのだから進化していかなくてはならない」という意見が高まるというようにして、このスポーツは発展してきた。

 もちろん、全てをバランスよく兼ね備えた選手が登場したときが、全体の技術が底上げされていくタイミングである。

 今回のボーヤン・ジンの成功によって、男子全体がどのような影響を受けていくのか、今後の展開を見守っていきたい。

BACK 1 2 3 4
ボーヤン・ジン
カート・ブラウニング
エルビス・ストイコ
本田武史
エフゲニー・プルシェンコ
羽生結弦

フィギュアスケートの前後の記事

ページトップ