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「極端な結果」が多い天皇賞・秋。
エイシンヒカリは最後に掴まるのか。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2015/10/31 08:00
エイシンヒカリのデビューは3歳の春。ゆっくりと成長した逃げ馬が天皇賞・秋も逃げ切るのか。
ディサイファは「成長が2年遅れ」!?
東京芝[4-1-1-5]というコース巧者のディサイファ(牡6歳、父ディープインパクト、美浦・小島太厩舎)は、1枠1番という好枠に入った。
小島太調教師は以前から「成長が2年は遅れている」と話しており、それを当てはめると、今が最も脂の乗った4歳秋。今年3月の中日新聞杯で重賞2勝目を挙げ、次走のエプソムカップ3着、札幌記念1着、毎日王冠2着と充実期を迎えている。このレースで12着に終わった昨年の秋とは「別馬」だと思ったほうがいい。
9戦8勝、エイシンヒカリは今回も逃げ切るか。
そのディサイファを、今年のエプソムカップと毎日王冠で負かしているのがエイシンヒカリ(牡4歳、父ディープインパクト、栗東・坂口正則厩舎)だ。
これまで9戦8勝。8勝のほとんどが逃げ切り勝ちだ。9回走って1回しか負けていないのだから、強いことは確かなのだが、主戦の武豊も坂口調教師も、ベストは1800mで、2000mは長いと見ているようだ。
陣営からマイルでの可能性に関する話が出てこないということは、ひょっとしたら、「1800mまで」というより「1800m専門」という馬なのか。だとしたら、日本にその距離のGIはないし、香港カップもずいぶん前に1800mから2000mになってしまったので、余計に悩ましい。
サンデーサイレンスの血が入った逃げ馬で、鞍上が武豊となると、どうしても「稀代の快速馬」サイレンススズカの再来となることを期待しながら見てしまう。
確かに、昨年のアイルランドトロフィーの直線で、内埒沿いから外埒沿いまで逸走しながら後ろを突き放した強さは普通ではない。
が、サイレンススズカは、武が「GIで2着を3秒離して勝つこともあり得る馬だった」とまで話していたスーパーホースだ。
エイシンヒカリは、父がディープで母の父がストームキャットという、キズナやラキシスと同じ成長力に富む血統構成でもあるので、いずれはサイレンス級になるかもしれないが、現時点ではどうか。サイレンスは、ついてくる馬がバテるほどのハイペースでゴールまで飛ばしたが、この馬は、道中でペースを落とせるところがほしいタイプだ。