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南ア、ラグビーW杯準決勝で敗れる。
負傷者続出で、NZにどう挑んだか? 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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posted2015/10/26 14:30

南ア、ラグビーW杯準決勝で敗れる。負傷者続出で、NZにどう挑んだか?<Number Web> photograph by AFLO

南アフリカ代表主将代行のフーリー・デュプレア。彼の統率と正確なキックが接戦の原動力となった。日本のサントリー・サンゴリアス所属の選手でもある。

残り2分、オールブラックスの分厚い壁。

 残り2分。南アゴール前に攻め込んだNZの猛攻を耐え、ノックオンを勝ち取る。このとき時計は79分11秒。自陣ゴール前を背負ったスクラムから、スプリングボクスは95m先のゴールラインを目指した。だがオールブラックスの黒い壁は壊れない。

 ふと、ここでハイパントを蹴ったら……という思いが頭をよぎった。だが、モスグリーンのジャージーはあくまで地上戦で、黒い壁にぶちあたり続けた。それが、このステージに来た目的ででもあるかのように。

 そして11フェイズ目、僅か10m前進したかどうかの密集で、南アの最年長、38歳のFWマットフィールドの手からボールがこぼれた。

 18対20。勝ったのはオールブラックス。

真のライバル同士の戦いだった。

「タフなゲームだった。オールブラックスが2点分だけ僕らよりも上だった」

 激しいコンタクトで歯が折れたデュプレアに代わって試合後の会見場に現れたバイスキャプテン、スカルク・バーガーは笑顔で話した。

 勝ったオールブラックスのスティーブ・ハンセン監督は深く息をはいた。

「まず南アフリカをたたえたい。このような試合をし、どちらかが敗退しなくてはならないのは非常に残念だ。どっちが勝ってもおかしくないゲーム。来週末に進めてホッとしてる」

 下馬評がどれだけ開いても、接戦になる。

 どれほど僅差で敗れても、笑顔で相手を称える。

 真のライバル同士の戦いが、そこにあった。

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