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南ア、ラグビーW杯準決勝で敗れる。
負傷者続出で、NZにどう挑んだか?

posted2015/10/26 14:30

 
南ア、ラグビーW杯準決勝で敗れる。負傷者続出で、NZにどう挑んだか?<Number Web> photograph by AFLO

南アフリカ代表主将代行のフーリー・デュプレア。彼の統率と正確なキックが接戦の原動力となった。日本のサントリー・サンゴリアス所属の選手でもある。

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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 ラグビーワールドカップ(W杯)で最も好試合が多発する「名勝負の巣」が準決勝である。ラグビー史上最高の試合のひとつといわれる1987年第1回大会のフランスvs.オーストラリア、豪雨の中の大激戦となった1995年第3回大会の南アフリカvs.フランス、ラグビー史上最大の番狂わせと呼ばれた(この表現に相当する試合はのちに日本によって更新されるのだが)1999年第4回大会のフランスvs.ニュージーランド……そんな準決勝伝説に、新たな試合が加わった。

 ニュージーランド代表オールブラックスvs.南アフリカ代表スプリングボクス。1995年大会では決勝でぶつかり、ワールドカップ史上初の延長戦、100分間を戦い抜いた。世界のラグビーの頂点を競ってきた宿命のライバル同士だ。

日本に敗れるスタートを切った南アと、プール全勝のNZ。

 今大会の足取りは対照的だった。

 前回優勝のNZは、プール戦を危なげなく全勝で通過。準々決勝ではフランスを62対13の大差で下して準決勝に乗り込んできた。

 対する南アは、ご存じの通り初戦で日本に敗れる暗黒のスタート。その後はサモア、スコットランド、アメリカを破りB組を1位通過したものの、準々決勝ではA組2位のウェールズに大苦戦。終了5分前に、日本のサントリーでプレーするSHデュプレアのトライで辛くも逆転勝ちして進んだ準決勝だった。

 NZが圧勝するのでは……下馬評ではそんな声さえ聞かれた。

 だが、宿命のライバル同士の戦いは、そんなことではすまなかった。

時代遅れの戦法が武器になった。

 南アフリカの意地を象徴していたのは、主将代行のデュプレアだった。オールブラックスの多彩なアタックの圧力に耐えてディフェンスを統率し、FWを前に出し、プレッシャーを受けても正確なハイパントを蹴り続けた。CTBデヴィリアス主将がサモア戦で負傷してチームを離脱し、アタックのオプションが減った現在のスプリングボクスにとっては、デュプレアのキックが最大の武器だった。その威力を倍加させていたのが、再三スーパーキャッチを見せたWTBハバナとFBルルーの奮闘だった。

 ハイパントは、一度ボールの支配権を手放すわけで、現代ラグビーではあまり評価されない戦術だ。伝統的にハイパント攻撃を得意とするアイルランドさえ、伝統の武器を封印して展開攻撃に戦術をシフトして以後、北半球6カ国対抗で2年連続優勝を飾った。というわけで、時代後れの戦法とみなされることが多い。だがそんなハイパントが実は強敵に挑む際の武器になりうることを、この準決勝は教えてくれた。

【次ページ】 エディー・ジョーンズが語っていた南アの強み。

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