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“クロップマニア”の市民が熱狂。
たった2戦でリバプールを完全掌握!? 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2015/10/25 10:50

“クロップマニア”の市民が熱狂。たった2戦でリバプールを完全掌握!?<Number Web> photograph by AFLO

リバプール就任で、チーム、ファン、選手から熱い歓迎を受けているクロップ監督。

クロップ就任で選手達が目を見張る変化を。

 ところが実際に後任となったクロップは、「4年以内にリーグ優勝」という慎重な発言はしていても、チームの「改革」や戦力の「入れ替え」といった言葉は口にしていない。それどころか、傍目には小粒で戦力不足と映るロジャーズから引き継いだチームを、自らが呼び集めた集団であるかのように扱っている。曰く、周囲が目を見張るハードワーカーぶりを披露したララーナのパフォーマンスは「まだ2、3割アップが可能」という。

 1トップに抜擢された20歳の第4FWディボク・オリジに関しては、「ドルトムント時代に欲しかった選手だ」と明かし、駒不足でやむを得ずの起用という印象を弱めようとしていた。

エムレ・チャンの中盤起用が大成功。

 もちろん、来年1月の移籍市場開幕まで補強ができない現実はある。それにしても、実質的なチーム練習が3日間に限られ、故障者続出で戦力にも限りがあった状態で迎えた初戦から、「自分のチーム」と感じさせたのは流石と言えるだろう。

 例えば、センターハーフとしてのエムレ・チャン起用。移籍2年目のMFは、ロジャーズの下では最終ラインでも起用されてきた。チームが冴えなかった昨季後半のピッチでは、「全力投球」とは呼べない姿も見せていた。そのチャンが、中盤中央でコンビを組んだルーカス・レイバと共に、ミルナーに次ぐチーム2位の走行距離を記録してアウェイでの1ポイント獲得に貢献している。スティーブン・ジェラードの後継者と目されるジョーダン・ヘンダーソンの足が癒えた後も、彼の相棒として2ボランチの一角で攻守両用の本領発揮が見られるのではないかと期待させた。

 代わりにミルナーは、2列目右サイドでポジションを争うことになるだろう。自身が好むセンター起用をロジャーズに確約されて今夏の移籍を決めた当人にすれば、意に反する監督交代に伴う変化ではある。しかし、クロップの4-2-3-1システムは相手ボール時に4-3-2-1へと変形する。トッテナム戦がそうであったように、その際に後方に頭数を加えるのがミルナー。つまり、中盤で持ち前の守備力を発揮する機会には事欠かない。逆に、中央を持ち場とし続けるにはボール奪取後の展開力が物足りないだけに、基本システムの2列目こそが適所だと思われる。

【次ページ】 オプションの4-4-1-1に早くも手応えが。

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