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宇佐美貴史が「怪物」と評す19歳。
U-22をリオ五輪へ導く井手口陽介。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2015/10/24 10:40

宇佐美貴史が「怪物」と評す19歳。U-22をリオ五輪へ導く井手口陽介。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

U-13の頃から日本選抜に名前を連ねてきた井手口陽介。どこまで突っ走れるか。

U-22では手倉森監督の評価も高く主力に。

 ガンバのボランチには不動のレギュラーである遠藤、今野がおり、井手口は明神智和と3番手を争う状態だが、カテゴリー別代表では常に主力としてプレーしている。

 昨年10月のU-19アジア選手権に招集され、全4試合に出場。同年12月にはリオ五輪を目指すU-21日本代表に初招集された。2015年3月リオ五輪1次予選には招集されなかったが、7月のコスタリカ戦では遠藤航とボランチを組んでプレーし、勝利に貢献した。9月に行なわれたJ3の町田ゼルビアとの試合にもU-22代表として招集されている。手倉森誠監督は「技術があるし、戦うことができる選手」として高く評価している。

 しかし、代表ではまだまだ自分らしさを十分出せていないもどかしさを抱えている。7月のコスタリカ戦では、自分の課題を明確に述べていた。

「遠慮はしていないですけど、自分の意見が言えてない。声も出せていない。もっとコミュニケーションを取って、自分が周囲の選手を動かせるようになれば、もっと質の高いプレーができると思うけど、そこはこれからの課題かなと思います」

 物怖じしない性格だが、かなりの人見知りでもある。黙々とプレーするタイプで、人に言う前に自分が動けばいいという考えだが、ボランチはチームの中枢だ。自ら指示を出して人を動かしたり、ポジションを修正したりと、声は非常に重要になる。また、コミュニケーションはコーチングだけではなく、自分のプレーや考えを理解してもらうためにも不可欠なものだ。それがうまく出来ていないため、コスタリカ戦、町田戦ともに自分の動きを理解してもらえず、周囲と噛み合わないシーンもあった。

悪い流れを変えられる選手になる、という目標。

 また、プレー面でも課題が見つかった。コスタリカ戦は良質な縦パスを入れていたが、町田戦では相手の厳しいプレスにあい、横パスやバックパスが増え、攻撃の合図となる縦パスが少なかった。

「攻撃が単調になっていたんで、テンポを変えたかったんですけどうまくできなかった。そういう悪い状況の時、もう少しいろんなパスでリズムに変化を出せればと思うけど、まだそれができない。攻撃のスイッチを入れるパスが出せていないんで、そこはこれから改善していかなダメなところです」

 効果的なパスを入れられない。悪い流れを変えられない。ガンバの大先輩である遠藤がやっていることが出来ない。だがそうしたことは、ベテランの選手であってもなかなか難しいことだ。それを19歳で自覚し、それを今すぐやりたいと思うところに井手口の意識の高さがうかがえる。

【次ページ】 「世界で自分がどんだけできんのやろ」

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