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「引退する谷佳知とファン、そして自分のため」
リハビリ途上の金子千尋が最終戦に登板。 

text by

米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/10/22 10:50

「引退する谷佳知とファン、そして自分のため」リハビリ途上の金子千尋が最終戦に登板。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

怪我に悩まされた金子だが、最終戦は1イニングのみ登板し、無安打に抑えた。

ハラハラさせた西勇輝の快投。

 シーズン最終戦、引退試合、相手がソフトバンクとなれば、思い出されるのは2012年の最終戦。その日は現侍ジャパン監督・小久保裕紀の引退試合だったのだが、そこで先発した西はノーヒットノーランを達成したのだ。

 もしかしたら今回も……。そんな考えがよぎった6回、西は2アウトから本多雄一に初安打を許し、二度目の大記録達成は消えた。

 試合後、福良淳一監督代行は「ノーヒットのままだったらどうしようかと思って、ちょっと頭痛めたんやけど、ハハハハハ」とぶっちゃけた。

「ま、よかったかどうかわからないけど、予定通りになった。金子は7回って決めてたから。何回も肩を作るわけにはいかないからね」

 一方、西はあっけらかんとこう言った。

「ノーヒットでも代わるって、5回が始まる前に、コーチには自分から言いました。コーチからは言いづらかったと思うので。やっぱり、ここまできたら、自分だけの試合じゃないですから。バトンタッチしたい、と言いました」

 そうまでして周りがお膳立てするのは、金子の復活なくして、来シーズンのオリックス躍進はないと信じているからだ。

 1イニングの布石を打ったことで、金子自身も周囲も幾分か不安を取り除くことはできた。

 来年、エースは完全復活を期す。
 

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