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松山、石川、岩田が戦う“格差社会”。
三者三様の異なるスタートライン。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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posted2015/10/25 10:30

松山、石川、岩田が戦う“格差社会”。三者三様の異なるスタートライン。<Number Web> photograph by AFLO

「苦戦」というイメージで語られることが多い石川遼だが、PGAツアー上位125人のシード選手である。

ほぼ全ての試合に出られる松山、過酷な競争の岩田。

 それぞれが歩んできた道、前年度の成績はまず今季の出場権に直結する。

 世界ランキング10位台を確保し、昨季のフェデックスカップランキングで16位になった松山は、今シーズンすべての試合への出場権があると言っても過言ではない。

 昨季レギュラーツアー最終戦でフェデックスカップランク125位以内に滑り込み、シードをキープした石川だが、メジャー、世界選手権のほか、いくつかの招待試合の出場権獲得は今季序盤戦の出来次第。

 そして岩田は最も過酷だ。開幕から1年を通じ、およそ5試合毎に入れ替え戦出身選手50人による「リシャッフル」が行われ、積算ポイントによって出場優先順位が入れ替わる。ライバルに後れを取れば、平場の試合にすら出場できない。

前日の練習機会、スタート時間選択権も。

 仮に3人が今大会のように同じ試合に出られたとしても、こんな格差は、調整段階から存在する。

 多くのトーナメントで開幕前日に行われるプロアマ戦。大会を支援するスポンサー関係者と一緒にコースを回る懇親ゴルフは、実際の試合に出場するプロ選手にとっては練習ラウンド、コースチェックの場でもある。

 プロアマ戦への参加選手は、一部に限られており、試合によって40人前後といったところ。試合に出場する選手は150人前後のため、皆が参加できるわけではない。メンバーに選ばれなかったプロは、その日は基本的には練習ラウンドができないのがルール。

 松山の昨季のフェデックスカップランクでいえば、全試合でのプロアマ戦が保障されていると言える。さらに米ツアーはプロアマ参加選手に対し、ティオフする時間帯の希望を募っており、多くは「午前の早い時間帯」、「午前の遅い時間帯」、「午後の早い時間帯」、「午後の遅い時間帯」の4段階から選択が可能。希望は前年度のポイントランク順にかなえられ、松山はこの開幕戦で「午前の遅い時間帯」を選択し、午前スタートの最終組に入った。

【次ページ】 天井をぶちぬいた松山、床を守り抜いた石川。

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