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日本がアジアで失いつつある「優位性」。
ハリルJのミス連発が示す技術力崩壊。 

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西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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posted2015/10/14 13:15

日本がアジアで失いつつある「優位性」。ハリルJのミス連発が示す技術力崩壊。<Number Web> photograph by Getty Images

1対1の攻防(デュエル)での弱さが目立ったハリルJ。フィジカルの差だけでなく、技術的にも差があるとしたら……。

本田圭佑が発した今後に関する独特の表現。

 また、本田圭佑は独特の表現で、現状の日本代表をこう語った。

「日本が急激にサッカーのレベルをここ20年で上げてきて、上げてくればくるほど経済と一緒で伸びにくくなる。まあ中国も似たようなものですよね。ごくごく当たり前に起こりうることなんですよね。練習試合ではベルギーと良い試合をして、オランダとも良い勝負できるように、本当に急激に来たと思うんですよ。まさしく横ばいになっていく、これ、当たり前のことなんですよね。当たり前のことでも、その伸び率は下がりつつも、ちゃんとちょっとずつでもいいから伸びていくという中長期計画は、日本のサッカー界全体に確かに求められていると思います。

 日本はいろんなことを真似してきてここまでレベルは高まってきましたけど、今後は日本が周りに真似されるような考え方を、今までとアプローチの仕方を変えていかないといけない時期には来ていると思っている。でも横ばいであっても、マイナスになっている感じはしていないですね。それぞれが各チームで、割りと良いチームでできる選手もいれば、これからビッグクラブになるというチームで活躍している選手もいますし。その代表なので。それと同時に、イランも力を伸ばしてきている。だから難しくなってきている」

 話が筋道立っているため、一見合点が行くように聞こえてしまうが、どこか鵜呑みにすることができない。本田が語ったことはすべて事実であるが、ならば中長期計画とは一体何なのか(彼は今後計画自体を作成していくことが必要という意味でも話しているが)。横ばいであってもマイナスにはなっていない、その確たる事実は何なのか。欧州で活躍する選手たちが増えているのは確かだ。ならばその実力にふさわしい技術と能力をアジア相手に見せなければならない。

 すべては選手の感覚論であって、それを立証するモノはここ最近の日本代表の成績にも、パフォーマンスにも見当たらない。

最終予選は厳しい戦いになるかもしれない。

 細かい戦術論や、ハリルホジッチ監督がこの試合で掲げたテーマの可否など、イラン戦の切り口はさまざまあるだろう。

 ただひとつ、乾いた秋空のテヘランで日本の姿を見て、危惧したことがある。

 日本は、アジアの中で確実に優位性を失いつつある――。

 そんなのわかっていたことだ、というお叱りの声が聞こえてくるかもしれない。日本が最終予選に進出したとして、そこに待っているのは過去20年で最も厳しい戦いかもしれない。

 警鐘は、かつてないほどに大きく響かせる必要がある。

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