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世界選抜で“控え”に回された1日。
松山英樹がコース外で気づいたこと。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYoichi Katsuragawa/GDO

posted2015/10/14 10:30

世界選抜で“控え”に回された1日。松山英樹がコース外で気づいたこと。<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa/GDO

控えに回った2日目、松山英樹は真剣な表情でジェイソン・デイらのプレーに視線を送っていた。

リードを許した状態で、相手のミスを待つ余裕。

 J.B.ホームズとの対戦で、松山が追う展開となった後半戦。先に仕掛けたのはリードしていたホームズだった。14番パー4はこの“ハンパじゃない連中”ならば1オンが可能な距離。手首の違和感も頭にあった松山が5Wでフェアウェイに刻んだのを見るや、米ツアー屈指のロングヒッターは1Wを振り抜いたが、ボールはグリーン手前のクリークに消えた。ドロップ後のショートゲームも決まらず、松山が4ホールを残してオールスクエアに戻した。

 16番で松山、17番でホームズ、とバーディを交互に奪い、戦いは最終18番へ。いずれもグリーン手前の花道から放ったパー5の3打目で勝負が決まった。先に打った松山が80cmに寄せたのに対し、相手は土壇場で消極的になり3mの距離を残してパットも決まらなかった。「最後のアプローチもミスをするとは思わなかった」と、勝った松山は言った。だが、ホームズは確かにミスをした。

あの1日のオフで得たものは大きいかもしれない。

 プレジデンツカップの2週前に終了した本格参戦2シーズン目は、フェデックスカップランキング16位、獲得賞金は375万ドルを越えた。出場25試合でトップ10入り9度、トップ3が3度といずれも初年度を上回った。ただ、1勝が遠かった。

 それでも、今回のある意味で屈辱的だった1日のオフが、届かなかった距離を埋めてくれるかもしれない。松山も既に誰もが認める“ハンパじゃない連中”のひとり。彼らの戦いにおいて、最終局面で相手のミスを待てる精神的余裕は、ひとつの強さに違いない。

 すぐに始まる3年目のシーズン。松山は最終日翌日、韓国から成田経由で再び米国に旅立った。

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