3試合連続先発で、出場時間も伸びている。

　乾もレバンテ戦の後「自分は前半で疲れ切っても大丈夫なくらい走ろうと思ってた」と語るなど、とにかく献身的な姿勢が目立つ。

「走らなければ試合に出られない」と彼が言うように、チーム内の競争も激しい。乾はチーム加入後、リーガデビューまで約1カ月待たなければならなかった。

　元バルサBのサウールやアトレティコ育ちのケコ、ミランからレンタルで加入したベルディもいる。

　誰もが、よく走る。その中でチームに来たばかりの乾が居場所を勝ち取るには、走り続けるしかなかった。

　ラスパルマス戦後のメンディリバル監督の言葉もそれを裏付ける。

「イヌイは攻撃だけでなく、守備面でもチームに貢献してくれている。サイドバックをサポートし、後方に積極的に下がってくれるので、昨季のように守備が不安定になることはなくなった」

　デビュー以降、3試合連続で先発。72、79、86分と出場時間も伸びている。

「自分に合っているのはこっちのサッカー」

　走る乾の姿はスペイン人に意外な印象を与えたが、本人は自身の変化を否定する。

「ドイツ時代と比べても、別に自分は変わってない。ただ、ここはサッカーがぜんぜん違う。自分に合っているのはこっちのサッカー。やっていて楽しいし、いいところにきたなと思っています。

　相手はどこも上手いですし、すごくいいサッカーをする。でもそこはエイバルも負けてない。その中でやれているのは幸せなことです。これを求めて自分はスペインにきたので、この中でもっと上手くなっていければ。エイバルは降格争いをするようなチームだとは、自分は思っていない。リーガでいいところまでいけるんじゃないかなと思っている」

　サプライズという立場を超えたところを目指すチームの中で、自らに課された最大の仕事が攻撃面であることは自覚している。

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