クローザー失格を物語っていたある数字。

　ところがクローザーとして最初の試運転となった5月8日のツインズ戦で1回2安打1失点と打たれると、その3日後のブルージェイズ戦でも9回2－2の同点から登板し、1回2安打1失点で敗戦投手になってしまった。

　田澤にとって不運だったのは、その月にレッドソックスが15勝15敗とあまり勝ち星を重ねることが出来なかったことだ。当然、セーブが付く場面での登板機会は少なく、やがて、同時期に安定した結果を残し続けた上原がクローザーとなり、田澤は上原へと繋ぐセットアッパーに固定された。

　結果的に2013年、田澤が9回に登板した時の被打率は.349（11試合）と散々だった。その傾向は2014年になって少し改善され、.265（10試合）と自己最高。今年もクローザー抜擢後の最初の4試合では9回の被打率が.214と自己最高を更新していた。ところがそれから数試合を経て“2度目のオーディション”が終わった頃、彼の被打率は.333という数字になっていたのだった。

「調子がどうであれ、結果を残していくのが自分の仕事。言い訳はしたくない」

　そう田澤は言った。結果は結果ということだ。

セットアッパーだと圧倒的なのに……。

　セットアッパーとして成功した投手が、クローザーとして定着しなかった前例は幾つもある。冒頭の会見でロブロ監督代行は「セットアッパーだと圧倒的なのに、クローザーになると機能しない投手がいるのはなぜか？」と問われて、こう答えている。

「プレッシャーもあれば、状況も違う。慣れも必要だろう。分かっているのは、役割を学ばなければならないということだけで、そこに明確な答えはない」

　田澤はクローザーとしては思うような活躍ができないのだろうか。自らを「ネガティブ思考」と称する田澤のことを「プレッシャーに弱いのではないか？」と考える人がいても不思議はないが、それは少し違うと思う。

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