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岡田武史が自ら獲得に動いた男。
山田卓也が語る、FC今治の野望。 

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小須田泰二

小須田泰二Taiji Kosuda

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photograph byTaiji Kosuda

posted2015/09/15 10:30

岡田武史が自ら獲得に動いた男。山田卓也が語る、FC今治の野望。<Number Web> photograph by Taiji Kosuda

今治FCには、市川大祐と山田卓也(写真)という元日本代表が2人いる。彼らがこのクラブに植えつけるものは、果たしてどんな実をつけるのだろうか。

契約期間に入っているが、年俸は知らない。

 契約期間は7月15日からの6カ月間だが、ギャランティに関しては具体的な金額は確認していない。それでも入団を決意したのは、繰り返しになるが、オーナーの“熱”である。

「いまはまだお金がないんだけど……考えてくれないかな? と岡田さんから言われた。それ以上、自分からはなにも聞いていない。でも、岡田さんは真摯に対応してくれた。

 岡田さんが思い描いている夢を語ってくれたし、FC今治の事業計画についてもね。内容は守秘義務があって話せないんだけど、そういうなかで現場のチームにはリーダーが必要だからっていう話になって、自分にリーダーになってほしいって熱心に誘ってくれた」

 山田獲得の経緯を例に挙げるまでもなく、FC今治の強みは、岡田オーナーの存在にあると言えるだろう。

 彼の誘いを受けて、多方面のプロフェッショナルが集まった。元U-17日本代表監督の吉武博文、JFA指導者養成ダイレクターだった眞藤邦彦、2010年W杯南アフリカ大会日本代表コーチの大木武……。さらにスペインからもバルセロナで育ったコーチ(フェラン・ビラ・カレラス)や選手(ダヴィッド・コロミナス・サウラ)が入団。まさに国内外のスペシャリストが、岡田の“熱”に打たれて、愛媛県今治市という人口17万人に満たない小さな街に集結している。

目指す姿は、日本版バルセロナ!?

 山田がクラブに合流して1カ月半が経った。入団当初は住居を探す間、通称『岡田HOUSE』と呼ばれる一戸建てで数日間ほど生活をともにした。

 ある日の夜には、食卓を囲みながら、ボランチが脇に落ちてきたときにボールロストしたシーンが話題に上がったという。中央にぽっかりとスペースが空いてしまう危険性が孕んでいる状況を、どうやってサポートしていくべきか……。そんな議論が日々、就寝するまで交わされているという。

「日本版バルセロナというクラブを目指している感じかな。すべてがうまくいっているわけではないけれど、すごく熱は感じる。クラブ、指導者、選手も含めて、いろんな人の野望とテンションが入り混じっている。

 とくに指導者の熱は半端ない。監督がたくさんいるような感じだからね。木村監督、吉武コーチ、フェランコーチ……。それぞれが話すから、気づいたらミーティングが軽く2時間になることもある。岡田さんはあまり話さないようにしているけれど、これで岡田さんが話したらどうなるんだろう(苦笑)」

【次ページ】 FC今治の今年の目標は「JFL昇格」。

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