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山口蛍「ミドルはヘタやなって」
テヘランで自分の“色”を出せ! 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2015/09/08 10:40

山口蛍「ミドルはヘタやなって」テヘランで自分の“色”を出せ!<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

ボランチのスタメン争いは熾烈だが、守備の局面において山口蛍の存在感は際立っている。アジア相手には攻撃の比重も大きくなるため、そこでの成長に期待が集まる。

自重ではなく、ハメを外してもよかった?

 攻撃面でも、山口らしさを欠いていた。ミドルを含めシュートは4本打ったものの、セレッソ大阪で見せているような、パスを出した後に中へ飛び込んでフィニッシュするというプレーは見られなかった。ほとんど攻撃に関わらず、後方支援に徹していたと言ってもいい。

「パスを出した後、中でもらってというのは意識はしていたけど、思った以上にペナルティボックス内に両方の選手がたくさんいたんで……。そこに自分が行ってしまうとさらに人数が増えて狭くなるんで、行かないようにした。あと、真司くんが左のスペースでやりたいと言っていたんで、(香川)真司くんがプレーしやすいようにと考えて、自分は後からのサポートに徹しようと考えていました」

 ボックス内に日本とカンボジアの選手が入り乱れるた状態で、山口は俯瞰して交通整理をしていたが、それでは自分の良さを発揮できない。また、狙いだった対角線のクロスからチャンスが作れていたが、何度も続けていればさすがに相手も慣れてくる。予定調和なプレーが増えたからカンボジアもなんとか守れていたわけで、2列目、3列目から飛び出していけば相手も混乱し、何かが起こったかもしれない。自重するのではなく、ハメを外したプレーで攻撃のリズムを変えても良かったはずだ。

「ミドルはヘタやなって思っていたんで」

 また、カンボジア戦前にハリルから特別指導を受けたミドルシュートも、すべて空砲に終わった。

「正直、ミドルはあんまり頭になかったです。普段チームで練習していないし、今まで入ったのはたまたまやし、ミドルはヘタやなって思っていたんで。でも監督と練習したり、『打て』とけっこう言われたんで狙ったけど、やっぱり難しい。クラブにいる時から試合で狙って精度を高めていかないと、こういう舞台でいきなり狙ってもなかなか決まらない。ミドルは日頃の積み重ねが大事やと思うんで、これから自分の課題としてチームに持って返って練習したいと思います」

 ユース時代はFWや攻撃的MFでプレーしており、攻撃的なセンスはもともとある。そこにミドルレンジのシュートを決める力が備われば攻撃の幅が広がる。残念ながらカンボジア戦では決められなかったが、諦めたわけではない。「次もチャンスがあれば」とアフガニスタン戦でも狙っていくつもりだ。

【次ページ】 アウェーのテヘランは山口が生きる環境?

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