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藤浪晋太郎「ミスター・タイガース
よりも、阪神のエースと呼ばれたい」 

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photograph byNanae Suzuki

posted2015/09/03 16:10

藤浪晋太郎「ミスター・タイガースよりも、阪神のエースと呼ばれたい」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

9月2日現在、藤浪の奪三振数172はセ・パ両リーグ通じてトップ。勝利数11もリーグトップタイ、自己最多タイ。自己記録更新がかかっている。

江夏豊「藤浪が一皮むけた試合」

 おそらく5回、成瀬を3球三振に打ちとった場面のことだ。すべて直球勝負で、決め球はアウトロー。力みのないフォームから放たれたボールは低めからグンッと伸び、快音とともに鶴岡一成のミットに収まった。ゲーム後、藤浪はこの投球のイメージをこんなふうに語っている。

「キャッチャーの後ろまで突き抜けていくイメージにしたのが、いいリリースにつながった」

 上から叩くようにボールを弾き、強くきれいな回転を与える。藤浪が今季のテーマとしていることだ。あの江夏豊も「藤浪が一皮むけた試合だった」と評した。

 実はこのとき、藤浪は6試合連続で勝ち星がつかず、自身4連敗中と苦しい状況にあった。しかしこの試合で今季初の完投勝利を収めると、ようやく本来のペースをつかみはじめ、連勝で白星を重ねていった。結果、8月終了時点での奪三振数172は両リーグ通じて1位。5月14日の1球が、藤浪の進化を引き出したと言っていいだろう。

エースに求められる立ち居振る舞いとは?

 着実に成長をとげ、3年目にして“エース候補”になる資格を得た。その21歳に敢えてエースに求められる立ち居振る舞いとは何か? と訊いてみた。

「言葉でチームを引っ張っていくのは難しいですけど、やはりプレーで引っ張る、結果で示すことが一番じゃないですかね」

 言外に、「このチームでエースになれなければ、自分の将来はない」という覚悟、そして自負をも感じさせる言葉だった。

 さらに巷では早くも、「藤浪がミスター・タイガースを襲名」という声も聞こえてきている。そうしたファンの高まる期待をどのように受け止めているのか尋ねてみると、藤浪の口からは意味深な一言が。

「自分はミスター・タイガースよりも、阪神のエースと呼ばれたいんです」

80年の歴史と伝統を背負う「ミスター・タイガース」の称号よりも、現在のチームのエースとしての責任を担いたいという藤浪。その想いはどこからくるのか――。
石田雄太氏執筆の、藤浪晋太郎「信頼されてこそ、エース」――本編は是非、Number885号「阪神タイガース八十周年特集 猛虎、神撃。」でお読みください。
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