月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
清宮幸太郎フィーバーは、
若貴フィーバーなのだ!
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byHideki Sugiyama
posted2015/08/25 11:30
「(大勢のマスコミに囲まれて)これからずっとこういう環境でやっていかなきゃいけない人間だと思っている」とコメントしていた清宮。父の清宮克幸氏も学生時代はビッグマウスだったという。
“辛口おじさん”日刊ゲンダイの独特の立場。
早実が甲子園出場を決めてますます報道が盛り上がるなか、日刊ゲンダイがこんな切り口で記事を載せたのだ。
「清宮蝕むスポーツマスコミの狂気」(7月29日)
私は、日刊ゲンダイは「オヤジジャーナル随一の辛口おじさん」と擬人化して読んでいる。ゲンダイ師匠の口調は厳しい。並べてみる。
「まるで客寄せパンダ」
「未熟なまま終わる可能性」
「16歳の高校1年生を無理やりスターに祭り上げることが、結果として選手をダメにする」
2日後には、「怪物候補を襲うメディアスクラム」(8月1日)と警鐘を鳴らした。フィーバーとは距離を置くゲンダイ。
しかし。いよいよ甲子園開幕が迫った8月5日号から、日刊ゲンダイの一面に「連載開始 清宮 怪物の育て方」という見出し。清宮のすごさを伝える「短期集中連載」が華々しくスタートしたのであった。小見出しはこうだ。
「体感150キロの速球をことごとく打ち返した小学生時代」
「煙突ホームランを連発」
「メジャーが最終目標です!」
裏一面をまるまる使って盛大な清宮フィーバー。連載第3回の見出しは「清宮特殊能力」であった。辛口のゲンダイ師匠も清宮フィーバーに乗った瞬間だった。
東スポが吠えた! 清宮記事の最高峰。
東スポも黙ってない。
「清宮 魔法のキュートボイス」(8月7日)という「スクープ」では、「巨体からここぞの時に出る裏声」は「リトル世界一の時、あのA・ロッドも耳にし驚嘆」という独自の切り口で攻めてきた。
そして、組み合わせ抽選会を伝える8月5日付の一面が圧巻だった。
「各校主力 異例猛口撃 清宮潰す!!」という刺激的な見出し。今回いろいろ清宮記事を読み比べてみたが最も読ませた内容だった。