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2ndステージ7試合ですでに12失点!
ガンバの守備に何が起こったのか。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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posted2015/08/21 10:30

2ndステージ7試合ですでに12失点!ガンバの守備に何が起こったのか。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

得点ランキングでは首位を独走している宇佐美貴史だが、6戦連続ゴールを決めた前半戦の勢いは消えている。攻撃でリズムを作るチームなだけに、彼の存在が守備にとっても鍵になる。

ミスが連鎖し、リスクマネジメントが破綻。

 3つめは、ボランチの判断だ。遠藤保仁だけではなく、今野泰幸も前線にいた。基本は一人が上がれば一人は後方待機だが、前掛かりになっていたので今野も上がってしまったことで中盤には大きなスペースができていた。

 4つめは、サイドバックのポジショニングだ。ボランチの遠藤と今野の2人が攻撃参加をした時、両サイドバックが中に絞って守備をするのが約束事になっている。だが、米倉恒貴は前に上がったまま、藤春廣輝も中途半端なポジションにいた。その結果、米本のドリブルを許し、4対3の状況を作られて決勝点を奪われた。

 まさにミス絡みのお手本のような失点だったが、昨年のガンバは、こうしたリスクマネジメントがしっかりできていた。しかし、2ndステージはその意識が薄れている。

宇佐美、パトリックへの徹底マークが守備にも影響。

 今野が言う。

「昨年は、ボールを奪った時に自分たちの時間をうまく作れたんです。カウンターも出せるし、パスをつなぎながら押し上げていくこともできた。でも、今はボールを奪った後が何もない。貴史やパトに出しても、孤立しているんで繋いでる途中で取られるし、それを繰り返すと守備の時間が長くなって、また守備かよってなってしまう。そうなるとジレて不用意に前に出ていって、カウンターとかで失点する可能性が高くなって……なんか悪循環になっていますね」

 今野の言葉から読み取れるのは、攻撃の課題が守備に影響しているということだろう。もともとガンバは、いい攻撃がいい守備を生んでいるところがあった。その攻撃の軸が宇佐美とパトリックだ。

 だが最近、2人は各チームに厳しくマークされ、以前ほど点が取れなくなった。阿部浩之(1点)、大森晃太郎(1点)、倉田秋(0点)ら2列目の選手はほとんど点が取れていないこともあり、点が取れないのであればせめて失点したくないと引き気味になる。

 すると2人は孤立してさらに攻撃力が低下する。守備の時間が増え、相手に動かされ、疲労させられて集中力が切れ、やられてしまう。あるいは点が取れないので焦って前掛かりになり、カウンターを喰らってしまうというパターンだ。

【次ページ】 宇佐美をサイドに回す新システムの効果は?

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