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鈴木雄介は「競歩の申し子」である。
金候補筆頭として世界陸上に挑む。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byJMPA

posted2015/08/20 10:00

鈴木雄介は「競歩の申し子」である。金候補筆頭として世界陸上に挑む。<Number Web> photograph by JMPA

ロンドン五輪では優勝候補の一角として出場したものの、36位に終わった鈴木雄介。リオ五輪に向けて、世界陸上での好記録は必須条件と言えるだろう。

高い目標を公言し、自分にプレッシャーをかける。

 その努力は少しずつ実を結び、2013年2月の日本選手権20kmで優勝。1時間19分2秒のタイムは13年ぶりとなる日本記録更新だった。翌月の大会で1時間18分34秒と一気に上回ると、2014年の日本選手権で1時間18分17秒とさらに記録を更新した。

 そして今年3月、金字塔を打ち立てる。故郷の能美市で行なわれた全日本競歩能美大会で、世界新記録となる1時間16分36秒で優勝したのである。陸上のオリンピック・世界選手権実施種目では、日本男子として50年ぶりの世界記録となった。

 ときに失敗に終わる大会もありながら、それをばねにしながら強化に取り組み、少しずつ階段を上がってきた。その粘り強さが、鈴木を今日へと押し上げた要因である。

 これまで鈴木は、大会を前にすると高い目標を常に掲げ、周囲にもそれを公言してきた。その姿勢、言葉からうかがえる意志の強さもまた、鈴木の持ち味である。

8位以内、日本人最上位というリオ内定の条件。

 今年7月には、「ホクレン・ディスタンスチャレンジ」に出場。5000m、1万mそれぞれで日本新記録を出し、調整は極めて順調だ。

 本番は、もちろん北京での世界陸上。

 今大会は、リオデジャネイロ五輪にもつながっている。8位以内に入賞した日本人選手のうち最上位の1名が五輪代表に内定する。

 むろん、鈴木の狙うところは入賞にとどまらないだろう。鈴木はリオデジャネイロ五輪での金メダルを目標にしている。それを実現するには、世界選手権でたしかな成果をつかみ、手ごたえを得なければならない。

 そもそも競歩の日本勢はレベルが高く、複数の入賞選手が出てもおかしくはない。代表に内定するには日本選手のうちトップでなければならないという意味でも、入賞でとどまるわけにはいかない。

 世界一を目指し、おそらく積極的なレースを見せるだろう。その先に、栄冠をつかむことができるか。日本競歩のエースの勇姿を見逃すわけにはいかない。

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