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早実の試合を100倍楽しく見る方法。
予想は裏切られる、サプライズを待て! 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byHideki Sugiyama

posted2015/08/18 12:40

早実の試合を100倍楽しく見る方法。予想は裏切られる、サプライズを待て!<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

清宮幸太郎は、桑田真澄以来となる1年生での2本塁打でますます注目が集まっている。早稲田実業の強さと脆さ、準決勝ではどちらが出るのだろうか。

 これほど「読み甲斐」のないチームもないかもしれない。

 17日、九州国際大付に勝利し、ベスト4入りを決めた早稲田実業の監督・和泉実は言った。

「みなさん、誰もうちがここまで残るなんて、思ってなかったでしょ。僕も思ってなかった」

 地方大会における戦い振りは、出場校中でもっとも危なげだったと言ってもいい。失策14、失点28はいずれも甲子園参加校中、最多である。決勝は7回を終えて0-5とリードを許したところからの大逆転劇だった。

 打線はいいが、守りが致命的と言ってもいいほどに脆い。数字からも明らかなように、それが前評判だった。

対戦チームの監督も、試合前は自信ありげだった。

 ところが蓋を開けてみると、この快進撃である。1回戦では愛媛の雄・今治西を相手に好勝負が予想されたが、6-0の完勝。続く広島新庄戦は、本盗を含む6盗塁といいようにかき回され、エースの松本皓が4回途中、よくあることなのだが人が変わったように崩れ降板。松本は一塁に走者がいるにもかかわらずノーワインドアップに入り、盗塁を許すなど考えられないような珍プレーも見せた。完全な負けゲームに思われたが、そこから綱渡りのような4人の継投で7-6と辛勝する。

 3回戦では優勝候補の呼び声も高かった東海大甲府に、注目の1年生・清宮幸太郎の初本塁打が出たこともあり、8-4で押し切る。この日は、リリーフの身長169センチの左腕・上條哲聖が、これまでとは見違えるような投球を見せ、東海大甲府の強力打線を相手に7回から9回までをノーヒットに抑えている。

 準々決勝は九州随一の強力打線を誇る九州国際大付が相手だった。ところが、この日は2、3回戦と不安定さを露呈していたエース松本が、1失点完投。打線では3試合で13打数2安打と低調が続いていた伏兵の6番・富田直希が、驚きの2打席連続本塁打と気を吐く。清宮の今大会2号ソロも飛び出し、最終的には8-1と大勝した。

 いずれの対戦チームの監督も、試合前は、警戒しつつもどこか自信ありげだった。それもわかる。地方大会のデータが示す守りの弱さ。甲子園における数々の珍プレー。強いのか強くないのかつかみ切れない勝ち上がり方を考察すると、「恐るるに足らず」という結論に辿り着いてしまうのだろう。

【次ページ】 普通に考えれば、仙台育英が一枚上手だが……。

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