松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER

優勝したデイの流儀に「へえ~!」。
松山英樹、全米プロ37位の反省点。  

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舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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photograph bySonoko Funakoshi

posted2015/08/17 16:30

優勝したデイの流儀に「へえ~!」。松山英樹、全米プロ37位の反省点。 <Number Web> photograph by Sonoko Funakoshi

今大会の明暗を分けたフェアウェイバンカーからのショット。松山英樹にとってメジャーは既に、出場や予選突破で満足できる大会ではなくなっている。

優勝の可能性が見えた瞬間に訪れた魔の15番。

 しかし3日目は、フェアウェイを捉え、グリーンを捉え、次々にバーディーを重ねていった。11番で4つ目のバーディーを奪った時点で、首位と4打差の6位タイ。この勢いのまま54ホールを終えることができれば、優勝が狙える位置で最終日を迎えられる――。魔のトリプルボギーを喫したのは、そんなふうにメジャー初優勝に光が差し込んだ直後だった。

 15番。フェアウェイから打った第2打はグリーン左のバンカーへ。さほど深いバンカーではなく、松山の技量なら、ピンに寄せられずとも、グリーンに乗せること自体は決して難しくない状況だった。

 だが、彼がバンカーから打った第3打はグリーンを越えて奥のラフまで飛んでいった。第4打のチップは再びグリーンを横切り、5打目のチップは逆にショート。そこから2パットでトリプルボギー。パー4で叩いた「7」は、勝利を目指す松山にとって、その意味も、ショックも、大きすぎる数字だった。

「寄せたいという意識が強すぎた。5打差ぐらいだったので、ボギーを打つと厳しくなるのはわかっていたので……もったいなかった」

「心当たりは……あると言えば、ありますけど」

「それでも明日は上を目指して頑張ります」と、あのとき松山は言ったけれど、あれは不甲斐ないプレーしか見せられなかったことを申し訳なく思った彼が、せめてものリップサービスのつもりで口にした言葉だったのだろう。もちろん最終日も懸命にプレーしていたが、もはや覇気は伝わっては来なかった。

 魂が抜けたゴルフでは、メジャーの舞台に飲まれるばかり。序盤から3連続ボギーを喫し、2オーバーのラウンドに終わったのは、まさにその表われだった。

「昨日のトリプルを引きずってる感じだった」

 日本メディアに囲まれた松山は、覇気が失われた自らのゴルフをそんな言葉で表現した。

 だが、いつまでも失敗を引きずるわけにはいかないし、そもそも前週からショットが乱れた原因は何だったのかをまずは追究しなければ対策が取れるはずもない。

「なぜ?」の答えに心当たりは、あるのか、ないのか。

「心当たりは……あると言えば、ありますけど、それがすべての原因ではないと思う」

 そして、「ある」の正体は明かしたくないと答えた。

【次ページ】 デイのエピソードに「へえ~!」と反応した松山。

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