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プレミア2戦目で得た確かな評価。
初得点の岡崎慎司が更に望むもの。 

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byAFLO

posted2015/08/17 11:30

プレミア2戦目で得た確かな評価。初得点の岡崎慎司が更に望むもの。<Number Web> photograph by AFLO

プレミア挑戦2試合目にしてゴールを決めた岡崎慎司。ブンデスリーガとは異なるスタイルのリーグに早くも適応すると同時に、得点を奪う能力の高さをファンに見せ付けた。

ドイツ移籍時と同じ気持ち、違う覚悟。

 しかし翌30日、レスターは監督解任を発表する。2011年から指揮をとっていたピアソンは、当然岡崎の獲得を推進した人物だったはずだ。

 7月6日、岡崎は監督の決まらないチームへ合流するために離日。

 過去、多くの日本人選手が弾き返されてきたプレミアリーグの壁。過去の事実をどう受け止めるかと問われた岡崎は、「なぜ日本人選手が活躍できないのか? それがどういうものなのかを確かめたい。その壁を打破する自信はある」と答え、旅立った。

 清水エスパルスからシュツットガルトへ移籍した当時の、岡崎の初々しさが懐かしく思い出される。

「未知の世界、自分に何ができるかわからない。だからこそ、挑戦する意味がある」

 その想いは、プレミアリーグ挑戦の今回と同じはずだ。しかし、そこへ向かう覚悟が違う。4年半のドイツ生活のなかで育まれた自信とたくましさが、「何があっても大丈夫」という図太さを生んだに違いない。

「良いことよりも、悪いことを考えてしまう性格」

 シュツットガルトでの模索。そして、手にしたストライカーとしての強い矜持。しかし、マインツでも当初はサイドMFでの起用が続いた。そんな現状を打開し、2季連続での二桁ゴールという結果を導いた。そして、夢の舞台へとたどり着いた。

「良いことよりも、悪いことを考えてしまう性格」と自らを分析する岡崎は、思慮深く、慎重に「あらゆることを考え、気持ちを備える」という。それがピッチという勝負の舞台に立ったとき、無心になるための準備だと。

 その分、期待を裏切られたときに味わう落胆は大きいだろう。

 裏切るのは誰か? 監督かもしれない、チームメイトかもしれない。そして、自分が自分を裏切る可能性だってある。プロ入りしてから岡崎は、デビューまでに数年を要した。ドイツへ渡ってからも、順調な時間は思いのほか短い。自分が置かれた様々な状況のなかで「何をしなくちゃいけないのか?」と、観察し、察知し、思考をめぐらせ、対応していく……。そんな日々の積み重ねが、岡崎の“感覚”という武器を磨いた。ゴールの数だけが彼の進化ではない。

【次ページ】 開幕を一週間後に控えた練習試合で決めたゴール。

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岡崎慎司
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