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健大高崎の「機動破壊」今年も健在。
ただの盗塁ではない、状況判断の力。 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byKyodo News

posted2015/08/10 16:00

健大高崎の「機動破壊」今年も健在。ただの盗塁ではない、状況判断の力。<Number Web> photograph by Kyodo News

7回表、健大高崎1死一塁の時に宮本隆寛が二盗を仕掛けた。結局、今大会で寒川を含む四国勢は初戦ですべて敗退することに

昨夏、大阪桐蔭に敗れたことにより学んだこととは?

 今年の健大高崎は、地区大会で30を超える盗塁を記録した昨夏ほど走塁ができるチームではないとの評判だった。試合前、健大高崎の「機動破壊」について尋ねられた寒川の佐竹茂樹監督は「地区大会の資料を見る限りでは、今年のチームは、そんなに走ってくるチームではないのかなと思います。ですから、そこまで相手の足を警戒しなくてもいい」と話していたが、健大高崎の今季の強さは、そのデータの先にあるものだったようだ。

 今大会のこれまで、状況判断を誤るチームが多いように感じていた。

 守備時に三塁に走者が行くと決まったように前進守備をして大量失点を喫す……そんなチームが多かったのではないか。1点にこだわるあまり、ゲーム全体を見通すことができず、失点を重ねているのだ。

 生方部長は今年の戦い方について、こう意気込んだ。

「確かに、今年のチームは去年ほどの走塁はないかもしれない。でも、それだけでは勝てないと昨夏の甲子園で大阪桐蔭に敗れてわかりました。去年は『走』があって『打』のチームでしたけど、今年は『打』があって『走』を生かしていくことができるチーム。相手にその『打』を意識させることで変化球が増えてくれば、盗塁も増えてくると思いますし、状況判断をうまくやりつつ戦っていきたいです」

 昨夏、一大センセーションを巻き起こした「機動破壊」は、2015年、新たな力を備えて甲子園に帰ってきたようだ。

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