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古田敦也が見た“小学生たちの甲子園”
~「マクドナルド・トーナメント」レポート~

posted2015/08/11 10:45

 

text by

河崎三行

河崎三行Sangyo Kawasaki

PROFILE

photograph by

Atsushi Hashimoto

“小学生の甲子園”と呼ばれる「高円宮賜杯第35回全日本学童軟式野球大会 マクドナルド・トーナメント」が8月7日に開幕し、東京都内各地で熱戦が繰り広げられている。

 47都道府県で行われる予選には合計で約1万3000チーム、26万人が参加。全国の小学生軟式野球プレーヤー憧れのこの舞台は、1981年に始まり、過去の参加者の中には、現在プロの世界で活躍する前田健太(広島)、杉内俊哉(巨人)、則本昂大(楽天)といった名前も見られる。

 2010年から同大会のオフィシャルサポーターを務め、神宮球場での始球式などに参加しているのが、元東京ヤクルトスワローズ監督の古田敦也氏だ。彼も小学校時代は兵庫・川西市の軟式チームで、白球を追いかけていた。

「ただ僕のチームは、市の大会さえなかなか勝ち抜けなくて(笑)。だから全国大会へと駒を進めるのがどれほど大変かは、よくわかります。そして晴れて東京へ来て、プロが使うスタジアムでの開会式に臨む。子供たちにとっては、まさに夢のような出来事なんでしょうね」

最初の野球ボールは硬球から? それとも軟球から?

 近年はリトルリーグなどで、最初から硬式で野球に接する選手も増えている。

「硬式と軟式、どちらから入るのがいいかは、よくプロ野球選手の間でも議論になるんです。僕のように中学まで軟式をやっていた者も多くて、比率的には硬式から始めた選手と、ちょうど半々ぐらいかな」

 子供たちがプレーする上で、軟式だからこそのメリットは確実にあると古田氏は言う。

「体がまだでき上がっていない時期に重くて硬いボールを使うと、肩や肘を壊したり、デッドボールやイレギュラーで骨折するなど、ケガのリスクがある。でも軟式はボールが軽くて軟らかいのでそうした心配が少なく、思い切ってプレーできますよね」

 もちろん逆に硬式から始めれば、硬球の感覚を早くから身に付けられる利点がある。

「そのあたりは一長一短。ただ僕は正直に言うと、軟式で始める方がいいと思っているんです。自分自身もそうだったんですが、高校から硬式に転向しても充分対応できますし」

 大会サポーターとなって6年。各会場で目にするプレーを、古田氏の小学生時代と比べてみると……。

「そりゃあもう、今の方がはるかにレベルが高いですよ。かつては強いチームとかプロに行かなければ知ることのできない『奥義』のようなものが結構いっぱいありましたけど、近年はネットなどで情報が手に入りやすくなり、小学生の頃から質の高い指導をされている。だから低年齢の段階からいい選手がどんどん出てくる時代になっています」

 特に違いが顕著なのが、内野手のスキルだという。

「昔は、打球の正面に入ってきちんと両手で捕り、しっかり踏ん張って投げるという基本を忠実に守っている選手が多かったのですが、今はうまい子になったらランニングスローしたり、あえて逆シングルで捕ったりしてますからね。『やるな、あいつ』って感心することも珍しくない(笑)。メジャーリーグのテレビ中継が増えた影響なのかもしれませんが、基本を理解した上でワンランク上のプレーにチャレンジするのは、小学生でもどんどんやっていいんじゃないでしょうか」

【次ページ】 野球の新時代を象徴する「和気軟式野球クラブ」。

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