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甲子園有力8校と、注目初戦5カード。
投手は東海大相模が抜群、野手は? 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byHideki Sugiyama

posted2015/08/06 08:00

甲子園有力8校と、注目初戦5カード。投手は東海大相模が抜群、野手は?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

今大会最大の注目を集める早稲田実業の清宮幸太郎。早実を倒せば目立つだけに、多くの学校はその機会を待っていることだろう。

投手はなんといっても東海大相模の2人。

<投手>

 投手でまず注目されるのは東海大相模の左右本格派、小笠原慎之介と吉田凌である。

 小笠原は投球フォームに欠点がなくてストレートが速いという得難い長所を持っている。ストレートの最速は150キロ。これが低めに唸りをあげて飛び込んでくるかと思うと、カーブ、スライダー、チェンジアップのキレが素晴らしく、これらを低めに集めるコントロールも安定している。森下同様、現段階ではドラフト1位指名が確実視されている。

 吉田凌は昨年の神奈川大会決勝、向上戦で積み上げた20奪三振(大会タイ記録)を抜きにして語れない。吉田の代名詞ともいえる縦に大きく落ち込むスライダーは高校生では捉え切れない“魔球”。さらにストレートの最速が小笠原同様に150キロ超え。これほど能力が傑出している左右本格派を抱える門馬敬治監督に投手起用に迷いが生まれないか、かえって心配になる。

 2人以外でストレートの最速が140キロ台中盤に達しているのは、高橋樹也(花巻東)、佐藤世那(仙台育英)、綾部翔(霞ヶ浦)、原嵩(専大松戸)、村木文哉(静岡)、小孫竜二(遊学館)、平沼翔太(敦賀気比)という東日本勢の本格派。

 優勝候補も含めて今のところ勢力図は東高西低だが、社会人野球の都市対抗では戦前の評価を覆して西高東低を実現し、私にとって“初見”の快速球投手が西日本から続出した。この選手権で同じような西日本勢の反攻が見られるか、大いに期待したい。

野手では捕手が豊作、遊撃手は東日本優位か。

<野手>

 捕手は春から名前の挙がっていた郡司裕也(仙台育英)、柘植世那(健大高崎)、加藤雅樹(早稲田実)、堀内謙伍(静岡)、堤田礼雄(天理)、西山統麻(智弁和歌山)を引き続き注目したい。ここに夏以降の充実が著しい佐藤都志也(聖光学院)、伊藤寛士(中京大中京)、田端拓海(大阪偕星)が加わり、捕手の豊作年と言っていいと思う。その中でも攻守のバランスのよさで柘植、堀内が頭ひとつ抜けている。

 内野手は平沢大河(仙台育英・遊撃手)、添田真海(作新学院・遊撃手)、渡辺大樹(専大松戸・遊撃手)、伊藤雅人(関東第一・遊撃手)、清宮幸太郎(早稲田実・一塁手)、千野啓二郎(東海大相模・二塁手)、杉崎成輝(東海大相模・遊撃手)、安本竜二(静岡・三塁手)、坂口漠弥(天理・一塁手)、春野航輝(智弁和歌山・一塁手)、山本武白志(九州国際大付・三塁手)と、東日本に好遊撃手が揃っている。

【次ページ】 清宮幸太郎は清原、中田に並ぶ1年生アーチなるか。

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