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プチ鹿島が眺める7月の新聞世相。
セ界は見たこともない時代に突入! 

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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photograph byHideki Sugiyama

posted2015/07/26 10:40

プチ鹿島が眺める7月の新聞世相。セ界は見たこともない時代に突入!<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

交流戦から絶望の12連敗を喫したDeNA中畑清監督だが、それでも首位とほとんどゲーム差のない状態につけている。その事実が、セの迷走を象徴しているといえるだろう。

2015年はもしかして「2Q15」なのか!?

 セ全球団が、この状況から抜け出せない。

 冒頭で「私たちは今、見たこともない世界を体験している」と書いた。今でもそれは続く。ジョージ・オーウェルは近未来小説「1984年」を書いた。村上春樹は「1Q84」を書き、現実とは微妙に異なっていく不可思議な1984年を「1Q84年」と名付けた。2015年はセ・リーグにとって何かが微妙に異なっていく不可思議な「2Q15」なのかもしれない。これはこれで見ものである。

高校野球の報道から想像する、各球団のドラフト戦略。

 さて、7月中旬になると高校野球の地方予選が盛り上がりを迎える。

 ここでスポーツ新聞の読み比べならではの仮説を書いてみよう。今秋のドラフトの目玉と言われる県岐阜商・高橋純平投手をめぐる記事である。7月13日の各紙が一斉に高橋の異変を報じた。岐阜大会で2戦連続、登板を回避したのだ。

 日刊スポーツは「異常事態 純平」と一面で書き、「左太もも裏説」、「マメ説」、「来週もダメ説」と3つの説を並べた。サンスポは「左足故障!?集まった11球団スカウトも困惑……」、スポニチも「11球団スカウト肩すかし」。

 いったい、高橋純平に何が起きているのか?

 異変の理由をはっきりと書いてきたのが以下の3紙だ。

「純平、左太もも肉離れ 全治3週間」(東京中日スポーツ)

「純平、肉離れ」(スポーツ報知)

「純平夏ピンチ 左太もも肉離れ、3回戦も登板なし」(デイリースポーツ)

 この3紙は原因を特定して報道した。これは何を意味するのだろう。3紙はそれぞれ中日、巨人、阪神と関係が深い。なので、高橋に関する情報がスポーツ紙に降りてきたのでは? という想像ができる。

 この3球団は高橋純平をピッタリとマークしているから「肉離れ」情報も掴んでいた。つまり中日、巨人、阪神はドラフトで高橋の指名を本気で考えているという証拠ではないだろうか。そんな想像で楽しめるのもスポーツ紙の魅力である。

【次ページ】 早稲田実業の清宮幸太郎は、今後何年も楽しめる逸材。

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