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“ミスター・プロレス”天龍源一郎の引退ロード。
~ドスの利いた言葉と家内への愛~ 

text by

門馬忠雄

門馬忠雄Tadao Monma

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photograph byKYODO

posted2015/07/22 10:30

“ミスター・プロレス”天龍源一郎の引退ロード。~ドスの利いた言葉と家内への愛~<Number Web> photograph by KYODO

今年2月、引退会見では「もうお腹いっぱい」と発言した天龍。左側は長女の嶋田紋奈さん。

 ついに、ドラマチックな「天龍劇場」が千秋楽を迎える。ファイナルの舞台まであと4カ月だ。

 ミスター・プロレスこと天龍源一郎の引退試合が11月15日、東京・両国国技館で開催される。その記者会見が6月26日、試合会場の両国国技館内で行われ、13歳で大相撲に入門した天龍は半世紀に及ぶ格闘技生活に幕を下ろすことになった。

「福井の田舎から出てきて国技館(蔵前)で初土俵を踏み、最後に両国国技館で終えられるのも一つの運命かな……。幸せですよ。辞めていく自分との葛藤もありますが、最後の国技館に向けて精一杯頑張っていきます」

 テレビカメラを意識しつつ、引き際の心境を語った天龍はこう漏らす。

「今まで家内に支えられてきたから、これからは家内を支えていくよ」

 最愛の妻・まき代さん(58)は乳ガン手術後、余病を併発してリハビリ治療中だ。引退後はまき代夫人の傍にいて、介護にあたるのだという。

 ふり返ってみれば、天龍とは'76年10月、彼がプロレス転向を表明する前夜、二所ノ関部屋で単独インタビューをして以来の付き合いである。吐くセリフは熱く激しく、「見出しがつけやすい」と活字メディアから大歓迎された異能派だ。

意外と面倒臭がり屋だったジャンボ鶴田と対照的な人柄。

 その点、同世代のライバル、故ジャンボ鶴田は意外と面倒臭がり屋だった。プロレスの揉め事絡みで質問すると「難しいことは聞かないでよ。馬場さんがルールで法律。馬場さんに聞いて」となる。'80年代をリードした鶴龍コンビはファイトも人柄も対照的だったから、2人の言動を興味津々に見守っていたものだ。ライバル関係が放出するエネルギーは、プロレスを熱く盛り上げる。やがて時代が変わっても、鶴龍コンビは馬場・猪木の関係を比較する意味でも面白かった。

 天龍引退ロードは、9月2日後楽園ホール大会を含め、残すところあと9戦となった。65歳の天龍だから、決して楽なスケジュールではない。頑固一徹の気迫はわかるが、体調管理には十分な気配りを。怪我なしで11月15日の両国国技館を迎えて欲しいと願うだけだ。

 生涯現役を貫こうとした姿勢には、「よくやったよ!」と拍手を送りたい。ただ、やはりドスの利いた“天龍節”が聞かれなくなるのがちょっとさみしい。

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