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日本酒の魅力をミラノから世界へ。
中田英寿のプロジェクトを支えた人々。 

text by

川上康介

川上康介Kosuke Kawakami

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photograph byKosuke Kawakami

posted2015/07/17 10:40

日本酒の魅力をミラノから世界へ。中田英寿のプロジェクトを支えた人々。<Number Web> photograph by Kosuke Kawakami

中田英寿と「日本の塗師」プロジェクトの5人の研修生たち。

伝統工芸の奥深さを垣間見ることになった5人。

 5人の研修生はミラノに渡り、レセプションでは接客を担当。器を通して日本文化のPR活動を行った。

「海外の方から『この器を作るのにどのくらいかかりますか?』と聞かれたので『1カ月くらいかかります』と答えたら、すごく驚いていました。でも自分自身、研修前はそんなに手間ひまがかかっているとは思ってもみなかった。研修を通して、日本の伝統工芸の奥深さを学び、カッコいいなと思いました」(研修生のひとり)

 また別の研修生も室瀬さんのもとでの研修で驚いたことがあったという。

「工芸というと、どうしても仕上げの細かさや美しさばかりを見ていましたが、それを支えているのは作業の9割以上を占める下準備。最初は、そういう作業を地味でつまらないと感じていましたが、仕上げの段階になってあらためてその重要性に気づきました。でも実は工芸だけでなく、すべてのモノづくりが同じなんですよね。そのことを知ったのが研修のいちばんの収穫でした」

SAKENOMYが世界に広げる、日本酒と日本の伝統文化。

 先生役だった室瀬さんもこの取り組みに意義を感じているようだ。

「海外はもちろん、まずは日本の若者にモノづくりの楽しさ、素晴らしさを知ってもらうことが重要だと思っていました。今回は研修というカタチでしたが、本格的に職人を目指すとなるとやはり時間もかかるし、苦労も多い。それでも本当に自分が納得できる作品ができると、すべてが報われるんです。彼らがこれからどんな道を進むかは分かりませんが、今回学んだことがあったとしたらそれを人生で役立て、そして誰かに伝えていってほしいですね」

 SAKENOMYは、日本酒の美味しさを世界に伝える期間限定のプロジェクトだ。しかしその影響は、日本酒にかぎらず、たくさんの人を通して、いろいろな場所に及んでいくのだろう。

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中田英寿

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