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選手とキャディをめぐる些細な問題が与える影響。
~藤田光里の「厳重注意」に思う~ 

text by

三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

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photograph byKYODO

posted2015/07/17 10:30

サントリーレディスで藤田光里はキャディ大江とのコンビ復活を「再スタート」と語った。

サントリーレディスで藤田光里はキャディ大江とのコンビ復活を「再スタート」と語った。

 ゴルフトーナメントにおいて、選手が唯一、自分の味方にできて、なおかつ相談し合える(ルール上のアドバイスを受けられる)存在が、キャディである。

 それは個人競技でありながら、二人三脚で戦えることを意味する。一方で、常に一緒にいれば、意見が対立してプレーにマイナスの影響を与えることもある。

 事は中京テレビ・ブリヂストンレディスのプロ・アマの日に起きた。

 藤田光里プロとキャディの大江順一が、競技中にもかかわらず「大ゲンカ」をしていたというのだ。

 口論の後はキャディ業務がおざなりになるなど雰囲気が悪く、同伴していたアマプレイヤーに不快感を与えたとして、キャディは12日間(期間中2試合開催)の職務停止処分、藤田プロは「厳重注意」を受けた。

 戦う選手にとって、キャディというのは単にバッグを担ぐだけの存在ではない。ゴルフプレイヤーというのは、プレッシャーがかかり、追い詰められるほど自分に自信をなくしたりするものだ。いつもは強気なはずが、その勇気が失われる。迷う。そして判断力が鈍る。そんな逆境の場面で、客観的な立場から正確無比でしっかりとした意見をいえるキャディこそ、選手に必要な存在なのだ。

帝王ニクラウスは「空気みたいな」関係を臨んだ。

 時に、その貴重なアドバイスが選手を救うこともあれば、今回のケースのように険悪な状況に陥ることもある。その上で、選手の愚痴や鬱憤を受け止め、精神的に安定させる役目もキャディが負わなければならない。

 バランスをとるのが実は非常に難しい。近寄りすぎず、離れすぎずの信頼関係は、選手とキャディにとって永遠のテーマかもしれない。

 ジャック・ニクラウスは「(キャディとの関係は)空気みたいなのがいい。そして必要なときに、スーッとそこにいてきちんと仕事をしてくれるような存在がいい」と言っていた。

 僕が懸念するのは、こうした些細な不祥事が、せっかく若手が次々に台頭し人気が出てきた女子ツアーの充実期に影を落とさないでほしいということだ。かつて、男子ツアーの絶頂期に選手たちのワガママが昂じてスポンサーを敬遠させ、人気を失っていったように。

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