「僕のレース人生でも完璧な決断だった」

　ピットロードへ消えるチームメートを2番手から見ていたロズベルグは、「これで勝った!!」と一瞬喜んだが、正しかったのはハミルトンの判断だった。

　ハミルトンがピットインしたその周に雨脚が強くなり始め、1周遅れてピットインした2番手以下のドライバーにハミルトンを逆転するチャンスは、もう残っていなかった。

「あの判断は、僕のレース人生でも完璧な決断だった」と振り返ったハミルトン。

　トップを独走し、勝利を確信してファイナルラップに入ったときには、思わず目頭が熱くなったという。それはシルバーストンで初めて経験する感動だった。

　大勢の地元ファンに囲まれた表彰台で、ハミルトンの両脇を占めた2位のロズベルグと3位のベッテル。

　負けた悔しさより、2週間後に予定されていた母国グランプリであるドイツGPが今年、消滅したことを寂しく感じていたに違いない。