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海外ゴルファーから見た日本ツアー。
稼ぎ場所、プロアマ戦、日本語。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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posted2015/07/02 10:40

海外ゴルファーから見た日本ツアー。稼ぎ場所、プロアマ戦、日本語。<Number Web> photograph by AFLO

独特のファッションスタイルで、どこにいても目立つイアン・ポールター。物言いも率直で時に論争を巻き起こすが、ゴルフについては真摯な姿勢を見せる。

稼ぎの場として、日本ツアーの費用対効果は人気。

「日本ではホテルからコースまでの移動が不便」という海外の選手もいる。英語が通じにくい日本の各地で、外国人がレンタカーを借りるのは一苦労だという。アジアなどの試合では交通事情の問題もあって、多くの試合でホテルとコースを行き来するシャトルバスのサービスがあるが日本には少ない。こちらは、ネットのスコア速報どころの問題ではない。

 しかし、こういった日本流のしきたりに外国人選手が辟易としているかといえばそうでもない。稼ぎの場を探す渡り鳥たちにとっては、いまもなお日本ツアーは魅力的だ。

 最大の魅力は賞金、そして費用対効果である。各国をサーキットするアジアや欧州ツアーの勢いは見逃せないが、一国で年間総額30億円以上の賞金がかかるツアーは米国と日本をおいて他にない。それでいて移動距離、時間は欧米で戦うよりはるかに短い。

 オーストラリアやニュージーランド出身の選手たちは、その点でたくましい。鉄道駅から近隣の試合になると、リュックサック姿で電車を乗り継ぎ、最寄りの駅からタクシーに乗って来場する大男たちがたくさんいる。

「韓国の選手にしたら、今も日本ツアーは最高」

 2010年に賞金王に輝いたキム・キョンテは今年、日本に来て8年目になった。

「韓国の選手にしたら、今も日本ツアーは最高」という。「韓国でも今は女子ツアーが人気で、年間29試合もある。なのに男子ツアーは年間13試合しかない。しかも1試合の賞金は女子と同じか低いくらい。日本でそんなことはないでしょう」

 来日当初はまず、宿泊ホテルの部屋の狭さに面食らった。レンタカーを運転中、ナビが故障するトラブルに見舞われたが、通訳代わりのマネージャーがフライト中で、日本語が理解できず立ち往生した思い出もある。

 プレー中にふと、突然物思いにふけることもあった。

「周りの選手の言葉が分からなくて、試合が面白くなかった。『自分はいま何をしているんだろう?』という気持ちもあった」

 だがいまや、キムと話すのに日本語を躊躇する日本人は誰一人いない。

【次ページ】 松山のように海外でプレーすれば、自然とタフになる。

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