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海外ゴルファーから見た日本ツアー。
稼ぎ場所、プロアマ戦、日本語。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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posted2015/07/02 10:40

海外ゴルファーから見た日本ツアー。稼ぎ場所、プロアマ戦、日本語。<Number Web> photograph by AFLO

独特のファッションスタイルで、どこにいても目立つイアン・ポールター。物言いも率直で時に論争を巻き起こすが、ゴルフについては真摯な姿勢を見せる。

「はやく家族に電話しないといけないね」

 日本ツアーで優勝争いをした外国人選手が、喜び勇んでそう言うのを今年に入って何度か耳にした。

 息詰まる戦いを終え、母国の妻や子供たちの声を聞けば、溜まった疲れも吹き飛ぶというもの。誰もが頷ける心理だが、彼らがそう口にする理由はそれだけではない。

「スコアの速報が止まってしまうから。家族は僕が勝ったことをまだ知らないはずだ」

 スコアが止まる――。

 ツアーや各大会が運営する、インターネットの速報サービスのことだ。PCや携帯電話向けのサービスはいまや、世界中のスポーツシーンにおいて一般的なもの。会場から離れた場所にいても、ほぼリアルタイムで戦況を知ることができる。

 ただ日本の男女ツアーでは、事情が異なる。週末の地上波でのゴルフ放送は生中継ではなく、数時間、数十分前に撮影したものを編集して放送する、いわゆるディレイ中継が大半だ。現場の興奮をお茶の間に届ける“演出”の手法のひとつとして、実際の試合が終盤に差し掛かると、ツアーはホームページ上のライブスコアの動きを止め「ここからはテレビでお楽しみください」とアラート文を表示する。

 天候等により展開が読みにくいゴルフ中継は、勝負所のシーンが放送枠に収まらない可能性がある。そして、日本ツアーは地上波テレビ局の編成サイドに、「リスクを冒してでも生放送する価値がある」と多くは判断されていないのが現状だ。

外国人の目に奇異に映る日本式のルールは多くある。

 テレビ中継のあり方云々の話はさておき、ツアーにはスコア速報以外にも、外国人選手にとっては奇異に思える日本式のルールがいくつかある。

 例えば大会開幕前の恒例行事であるプロアマ戦。日本での、特に女子ツアーでの“充実ぶり”は評判だ。スポンサー関係者と出場プロがラウンドをともにし、直後にクラブハウスで表彰式が開かれる。

 このプレー後のパーティは欧州形式の文化で、米国では男女ツアーを通してもなかなか例を見ない。中でもプロアマに参加したすべての選手がその後の会合に参加するのは、日本流のおもてなしだ(欧州では通常、成績上位数名のプロがパーティにも参加。しかし、呼ばれても来ない選手もいるとか)。

 ただしこのパーティの時間を取るために、プロアマに出場する選手、つまり大会開幕前日の事前ラウンドを行える選手は他ツアーに比べ、日本は少ない。スポンサーを満足させるためにプロアマに選ばれるのは日本人選手が中心で、多くの外国人はその煽りを食う。

【次ページ】 稼ぎの場として、日本ツアーの費用対効果は人気。

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