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パトリック・チャンがカナダで拓く新たな“道”。
~現役復帰と「スケート学校」設立~ 

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野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

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photograph byJMPA

posted2015/06/29 10:30

パトリック・チャンがカナダで拓く新たな“道”。~現役復帰と「スケート学校」設立~<Number Web> photograph by JMPA

ソチ五輪後は休養に入り、アイスショーなどで活躍していたが、今季より復帰を発表した。

 ソチ五輪で銀メダルを獲得し、'18年平昌五輪で羽生結弦への雪辱を誓うパトリック・チャン(カナダ)。なんと彼の名を冠した「パトリック・チャン・精鋭スケート学校」が、バンクーバーに創設されることになった。

 このスケート学校は、起業家デニス・ドラモントが設立する総合スポーツ施設「ドラモントクラブ」の目玉だ。テニス、プール、ジム、スパ、3軒のレストランなども備え、会員権は約360万円、総資本1億5000万円という超高級クラブ。スケート学校は早ければ来年末には完成予定だという。チャンは言う。

「世界王者になってからのここ3年、どうやってスケート界に貢献しようかずっと考えていたが、最高の機会を頂いた。カナダの選手を育成し、世界のスケート界を牽引していきたい」

 平昌五輪までは選手として利用しながら、アドバイザー役として育成に関わり、引退後はヘッドコーチに就任する。怪我などで引退が早まったとしてもその立場は揺るがない。チャンからすれば3年間の練習拠点が安定しただけでなく、エリート指導者としての将来を約束された形だ。発表会見ではリンクの中央に“パトリック・チャン”の名が描かれた完成予想模型をみて終始満面の笑みだった。

ブライアン・オーサーの“クリケットクラブ”のように。

 北米では、このような高級スポーツクラブ内のスケート場に元有名選手をコーチとして招へいし、整った練習環境でトップ選手を育成するスタイルがある。羽生が練習する、ブライアン・オーサー率いるトロントの“クリケットクラブ”がその最たる成功例だ。カナダとしては東のトロント、西のバンクーバーと有名施設が2拠点になることで、全土での選手強化が可能になる。バンクーバーは今後20年で100万人の人口増が見込まれている都市でもあり、カナダのスケート連盟のテッド・バートンBC地区代表は、

「バンクーバー地区を強化することが、カナダの次世代のスケーターの育成に繋がる。カナダスケート連盟としてもこの施設に全面協力したい」と期待をかける。

 日本では引退後のセカンドキャリアに対するサポートはまだ弱い。引退後の仕事が約束されることは、競技への集中にも繋がるだろう。チャンは最高のモデルケースになれるのか――まずは今季復帰となるチャンの活躍に注目だ。

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