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浅田真央の復帰。
~技術基礎点から見える“可能性”~ 

text by

小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byAsami Enomoto

posted2015/06/25 10:50

浅田真央の復帰。~技術基礎点から見える“可能性”~<Number Web> photograph by Asami Enomoto

復帰会見では「時が経つにつれ自然と試合が恋しくなった」と語った浅田真央。

 浅田真央が現役復帰を表明した。新しいシーズン、グランプリシリーズの中から、中国杯(11月6日開幕)とNHK杯(11月27日開幕)にエントリーしたことも発表された。復帰を表明した記者会見の中で「去年の世界選手権のレベルには最低持っていかないと」と語っていたから、中国杯までには、優勝した2014年世界選手権の時のレベルに持っていくことができる、練習での手応えから、そう判断したということだろう。

 一方で、今年の世界選手権でロシアの18歳、エリザベータ・トゥクタミシェワが3回転アクセルを成功させたことから、今後は女子においても、このジャンプがトップ選手の標準的な技術となり、浅田の技術的な優位は、以前のようには維持されないだろう、といった見方もある。

 しかし、ショートプログラム(SP)とフリー、両方の総合的な技術レベルという意味で言うなら、昨年の世界選手権で優勝した時の浅田は、現在でもなお、世界のトップを狙うに十分なレベルである。それだけに、昨年の世界選手権時のレベルに戻すのは容易なことではないが、それができれば、そのまま来季の世界一は狙えるだろう。なぜそのように言えるのか、トゥクタミシェワの演技との比較から、考えてみたい。

昨年と今年の世界選手権で比較して見えた、浅田の高得点。

 別表は、昨年と今年の世界選手権、浅田とトゥクタミシェワのSP、フリーの技術要素と、その基礎点を示したものだ。基礎点の合計を見ると、SPではトゥクタミシェワが1.53上回っていたが、フリーは浅田が0.19上回った。合計すると、技術要素の基礎点はトゥクタミシェワが95.48、浅田が94.14。その差は、わずかに1.34だった。つまり、この2人の技術的な総合力は、ほとんど変わらないと言える。

 最終的なスコアは、基礎点の合計に、GOE(審判による各要素の加点、減点)を加味して、さらには芸術性を評価する5項目の「演技構成点(5項目それぞれ10点満点)」の点数を加えるなど、総合力を勘案して計算される。その最終スコアを見ると、

             SP  フリー
トゥクタミシェワ   77.62 132.74
浅田真央     78.66 138.03

 となっている。つまりSP、フリーともに、最終的なスコアは浅田が上回っていたのである。SPの基礎点はトゥクタミシェワのほうが上だったにもかかわらず、最終スコアは浅田のほうが上になったというのは、演技構成点で、浅田が大きく上回っていたからだ。SPではトゥクタミシェワの5項目が7.89~8.68だったのに対し、浅田は8.64~9.29だった。

【次ページ】 再びトップを目指すにはトリプルアクセル以上に……。

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