『マネーボール』でおなじみのあの球団が……。

　ただ、ヴェンディッティはスコアラー受けしなかった。最大の原因は、肩の手術のあとでモーションを横手投げに変えたため、球速が出なかったことだ。速球でも130キロ台。変化球は120キロ台がやっと。

　そんな彼と契約を結んだのが、『マネーボール』でお馴染みのアスレティックスだ。映画を見た方ならご存じだろうが、あの球団はこういう選手をピックアップし、再生させるのが得意だ。ヴェンディッティも期待に応え、今季はトリプルAのナッシュヴィルで33イニングスを投げ、防御率1.36の好成績を残してメジャーに昇格した。

　そんな彼を評して、ブルペンコーチのスコット・エマーソンは、「左右とも35球までならいい球を投げられる」と新聞記事で証言している。ホールドポイントを稼ぐほどの力量は感じられないが、2点差、3点差を追いかけるような展開のときは、貴重な中継ぎとして重宝されるのではないか。こういう個性派ができるだけ長くメジャーにとどまり、野球好きを楽しませてくれると面白いのだが。