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「僕、無駄話減ったでしょ?(笑)」
無骨になった吉田麻也の“変化”。 

text by

西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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photograph byAFLO

posted2015/06/10 10:50

「僕、無駄話減ったでしょ?(笑)」無骨になった吉田麻也の“変化”。<Number Web> photograph by AFLO

ヒゲをたくわえ、以前よりも逞しくなった吉田麻也。表情は柔らかいが、かもし出す雰囲気は重厚さを増している。

周囲からの評価と、自意識のギャップの狭間で。

 今シーズン途中の事だった。新たにサウサンプトンと3年契約を交わした吉田は、イギリスの高級紙・インデペンデントからインタビュー取材を受けた。もちろん名誉なことではあったが、同時に吉田はそこであらためて感じた悔しさも、忘れられないという。

 そして代表の舞台でも、周囲から「DFリーダーとして安泰」という見方が優勢だ。そうした声が、知人などから彼本人に届けられることもある。

 しかし吉田は、世界のトップレベルであるプレミアにおける自分の現状を理解している。それをわかっているからこそ、甘美な他人の評価に真剣に耳を傾けることはない。

 その危機感は、吉田とのやり取りの中で随所に感じられる。

「『日本人で初めて契約延長』は嬉しくない」

――イギリスのフットボール専門誌“Four Four Two”が選んだアジア人選手トップ50で、17位にランクインしていた。これはDFでは最高位。あらためてそういう評価を目にして感じることは?

「正直な気持ちを言っていいですか。まったく意味のないモノだと思っています。契約延長をした後にも、いくつかのイギリスメディアの取材を受けました。インデペンデントのインタビューもあった。そこで『日本人で初めてプレミアで契約延長した選手』と扱われた。結局、現地の人たちはまだそういう限定的な見方や評価しかしていないんですよ。アジア人のDFとしてどうだ、日本人として初めてだとか、そういうことで取り上げられても、イギリス、プレミアの中では何の価値も持たない。

 もちろん僕はずっと『アジアのDFを代表して、プレミアで戦う』という思いは持ち続けています。その感覚は、忘れないで継続して持って行こうとも。でも、もうそこの基準だけで戦っていても、いつまで経っても欧州の選手たちには追いつけない。

 必要なのは、プレミアリーグのDFとして評価されること。それが最も大切。現実、アジア人のDFはいま僕しかいないのだから、そこで評価がどうだとか順位がどうだとか言われても、何の意味もないと思います。

 イギリスは元々階級社会だから、外国人が認められるには正直ハードルがある。それは仕方のないこと。でも、こういう経験で今の自分の立ち位置があらためて理解できたので、良い経験だったと思っています。とにかく、上に向かっていくしかない」

【次ページ】 「無駄話が少なくなってきたと思いませんか?(笑)」

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吉田麻也
サウサンプトン

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