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「僕、無駄話減ったでしょ?(笑)」
無骨になった吉田麻也の“変化”。 

text by

西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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photograph byAFLO

posted2015/06/10 10:50

「僕、無駄話減ったでしょ?(笑)」無骨になった吉田麻也の“変化”。<Number Web> photograph by AFLO

ヒゲをたくわえ、以前よりも逞しくなった吉田麻也。表情は柔らかいが、かもし出す雰囲気は重厚さを増している。

「僕が出た試合でもっと勝率を上げないと」

 そんな“見た目”の評価に対して、吉田は自らを辛口に捉えている。

「『何となくいい感じに試合に出られて、いい感じで終わりましたね』で済ませてはいけないと思う。『昨シーズンより試合に出て、出来もまずまずだったのでまた頑張ります』と言っているようでは、今後もまたこの繰り返しになってしまうような気がするので。

 結局大事なのは、今シーズンは昨シーズンよりもたくさんチャンスをもらったにも関わらず、レギュラーを取り切れなかったこと。そこに尽きるんです、僕の評価は。連続出場した試合数は6試合。それが最大。それじゃあ、物足りない。

 何より、僕が出た試合でもっと勝率を上げないといけない。選手は監督に『あいつを使うと勝てる』というイメージを植え付けないといけない。結局、勝っているチームは基本“イジらない(メンバーを代えないの意)”。だから、たとえ自分が悪いプレーをしていなかったとしても、試合に勝てなければインパクトを残せない。それでは、監督に『何か変化が必要なのでは?』と思わせてしまう」

 確かに、シーズンが終わった後の感触では、サウサンプトンが安定して勝利を収めていた試合では、フォンテとトビーがCBのコンビを組んでいたような印象がある。

 実際に数字を調べてみても、吉田が先発した18試合の戦績は、7勝4分7敗。一方、吉田が出場しなかった16試合の戦績は、9勝2分5敗。途中出場の戦績は、4試合で2勝2敗。吉田の実感とおり、彼が出場していない試合のほうが勝率が高いのが現実だった。

「ミスは減ってきた。でも僕には詰めの甘さがまだある」

 もちろん、全ての原因が直接吉田のプレーにあるわけではない。サッカーの勝敗は、一選手にとっては不可抗力なところもある。それでも、吉田は自分の責任で勝利を逃した瞬間は決して忘れてはいない。

「うーん……、思えばいくつかありました。記憶が鮮明な終盤戦だと、34節のトッテナム戦の引き分けは、自分のプレーで勝ち星を落としたと思っています。次の35節のサンダーランド戦でPKを与えてしまったこともそう。なんでもないボールだったけど、自分のクリアがあまり良くなくて、そこからチームはPKを奪われてしまった。

 監督も、出場記録を見比べながらデータを見ているかもしれない。ある程度試合に出られているということは、監督はCB間にそんなに大きな力の差があるわけではないと考えていると思う。そうであればなおさら、自分が試合に出た時には結果を示していかないといけない。

 DFがイージーミスをなくしていくのは当たり前に求められること。でも直接勝率を上げるためにDFが個人ですべきことは、なかなか見えにくいところはあると思います。

 単純なミスは自分でも以前より減ってきたと思う。でも、僕には詰めの甘さがまだある。そこが足りないところ。突き詰めるのはさらなるディテールですよ。もうずっとそのことについては触れてきたけど、やっぱりどう考えてもここからさらに上のレベルに行くためには、本当にそこしかないと思っています」

【次ページ】 「チームの守備が評価されるほど、緊張感は増す」

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吉田麻也
サウサンプトン

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