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零時に魔法は解けた――クリッパーズの悲喜劇。
~弱小球団、優勝までのあと一歩~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2015/06/08 10:00

零時に魔法は解けた――クリッパーズの悲喜劇。~弱小球団、優勝までのあと一歩~<Number Web> photograph by AFLO

ロケッツとの第4戦では128-95と大勝するも、その後連敗。第7戦に敵地で散る結果に。

 それはまるで、鐘が鳴り響くなか、馬車がかぼちゃに戻ってしまったかのようだった。昨シーズンの王者、サンアントニオ・スパーズを倒して西カンファレンス準決勝に進んだロサンゼルス・クリッパーズが、ヒューストン・ロケッツ相手に3勝1敗の王手から3連敗し、シーズン終了を迎えた時のことだ。

 難敵スパーズ相手に戦っていた時のクリッパーズは、本当に強かった。接戦のなかでの駆け引きや作戦の実行力、集中力や意志の力の勝負で、王者スパーズに一歩も引けを取っていなかった。第7戦、足に肉離れを負ったクリス・ポールが、残り1秒で意地のシュートを決めシリーズを勝ち抜いた時は、そのまま優勝しそうな勢いすらあった。

 ところが、それは長続きしなかった。流れが変わったのは、ロケッツとのシリーズで王手をかけた後、第6戦、残り15分弱で19点のリードを取った後のこと。シーズン終了の瀬戸際に立たされたロケッツの必死の戦いの前に、強かったクリッパーズが突然消えてしまったのだ。選手層の薄さからくる体力切れなのか、メンタル面での弱さが原因なのか、勝利まであと一歩のところで6分近く得点を決められず、また相手の攻撃も抑えられず、あっという間に逆転されて敗戦。続く第7戦はもはや抜け殻のように抵抗もなく敗れ去り、優勝どころか、チーム史上初のカンファレンス決勝進出も消えた。

万年弱小から4年連続プレイオフ。それでも満足せず。

 敗退後、ポールは言った。

「あと少しだった。でも、近づいただけでは十分ではないんだ」

 万年弱小だったクリッパーズは、この数年の戦力補強で4年連続プレイオフに出場するまでになった。1年前はオーナーの人種差別発言に揺れたが、今季前に新オーナーを迎え、新しい時代に舵を取り始めた。今シーズン優勝できたら、まるでおとぎ話のシナリオだった。

 現実の世界はおとぎ話のようにうまくは進まない。と同時に、昔からよく言われる“クリッパーズの呪い”も幻想なのだと、ブレイク・グリフィンは言う。

「僕が来たときに“クリッパーズの呪い”と言われたのは、ドラフト首位指名選手は怪我で大成せず、プレイオフに出られないということだった。今は誰もその話はしなくなった。前と同じように、目の前にある壁も必ず乗り越えてみせる」

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