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日本ゴルフの低いトレーニング意識。
クラブをカスタムするように、体も。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byKyodo News

posted2015/06/03 10:30

日本ゴルフの低いトレーニング意識。クラブをカスタムするように、体も。<Number Web> photograph by Kyodo News

昨年よりも明らかに一回りすっきりとした谷口徹。レギュラーツアーでの活躍を諦めていないからこそ、47歳からでも肉体改造を辞さない構えだ。

藤田は専用ジム、塚田は「ライザップ」。

 谷口がその姿を目にしたのは3年前の夏、米国での試合。

「ビビった。上半身の鍛え方がハンパじゃなかった。あんなに鍛えて大丈夫なんやなあ……。結果を出しているんだから」

 ヒメネスは自身の肉体管理についてこう語る。

「年を取るほど、体を鍛えることが重要になる。人は年を取ると体が衰えるのは仕方がないと当たり前に言うが、そうは思わない。これから25年先だって、同じ状態を保ちたい」

 肉体強化に躍起になっている日本のベテランは、谷口だけではない。たとえば藤田寛之は数年前、ホームコースの施設内に専用のジムを作った。藤田と同学年の塚田好宣はこのオフ、流行の個室マンツーマントレーニング「ライザップ」で鍛え直してシーズンを迎えたという。

ゴルフ界でトレーニングが常識になったのは、ウッズ以降。

 他のスポーツに比べて運動量が少ないゴルフでは、科学的な根拠に基づいたトレーニングが“常識”になったのは、そう昔のことではない。トレーニングの重要性が本格的に認知されるようになったのは、タイガー・ウッズの登場以降の話だ。

 米男子ツアーでは、選手のコンディションをサポートするためにフィットネス用のトレーラーが用意されている。全米を駆け回る2台の車両には、有酸素運動、筋力トレーニング用の器具、マッサージ用のベッド等が並ぶ。ヒメネスも米ツアーに出場した時は、これらを利用して鍛え上げている。

 ところで、日本の男女ツアーもフィットネス環境を選手に提供してはいるが、やはり米国のそれには遠く及ばない。

 今季から宮里美香の帯同トレーナーを務めている工藤健正氏は、2009年に日本で6勝した諸見里しのぶのサポートについていた。昨年まではテニス選手のトレーナーとして世界を飛び回ったが、宮里美香について米国内で過ごす時間が増えたことで、「仕事がしやすくなった」という。

【次ページ】 フィットネスへの意識は日米差が大きい。

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