韓国人記者が疑問視したガンバのテンポ。

　グループリーグ第5節で日立台に取材に訪れた韓国スポーツ紙記者も、この点を感じ取っていた。

「3月3日、ガンバ大阪が韓国で城南FCと戦ったゲームも取材していました。城南が守備を固める中でカウンターからゴールを奪い、2－0で勝った。試合中、ガンバがリードを許し、かつ時間のない状況でもあまりテンポを変えずゆっくりとボールを回していた。『あれなら城南も楽だ。ゴール前に来ないんだから』という話になった。でも柏は違った。今日は無理に攻撃的に戦った全北の戦略ミスも大きかったと思うが、それでも守備でしっかりと全北と対峙し、その後速い攻撃を仕掛けていた」

アウェーにはアウェーなりの戦い方がある。

　このダブルスタンダードこそが、柏の選手自身も自認するストロングポイントのようだ。キャプテンの大谷秀和も「大会初戦が重要だった」といい、今後もこのやりかたを活かしたいと口にしていた。

「初戦のアウェーゲームでは、相手に柔軟に対応できた。防戦一方の試合を耐え抜いた。シーズンの公式戦2試合めということもあり、かなり厳しい状況だったんです。その状況でやらなきゃいけないことを考えられた。

　これからの戦いでも、その場その場で対応する力が必要。これしかできない、ということではなく、状況に応じていろいろなことができるというチームの幅が重要になってくる。自分たちのやり方を完全に捨てるということではないが、アウェーならアウェーの状況を理解するということが大事」

　状況に応じて、自らに大小の変化を加えていく。では柏には、なぜこれが可能なのか。

　1つの理由は、「狙いを実践できる体調管理」が見逃せない。今シーズン、柏は大胆にもシーズン序盤のホームゲームを平日開催に変更し、ACLに向けて日程の余裕を確保する策を取っている。観客減のリスクを負っても、コンディショニングを優先しようとする考え方だ。

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