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<なでしこジャパンのエースが語る> 川澄奈穂美 「危機感はありますね、凄く」 

text by

松原渓

松原渓Kei Matsubara

PROFILE

photograph byTaiji Yamazaki

posted2015/04/28 10:00

必勝を期して臨んだはずの前哨戦、アルガルベ杯。
想像以上に進化したライバルの実力を目の当たりにし、
なでしこを支えるダイナモは、何を感じたのだろうか。

 前回W杯でなでしこジャパン優勝の立役者となったシンデレラガール・川澄奈穂美。

 その表情には、年齢を経て、以前の爛漫さだけではない重厚なサッカーへの探求心と情熱が滲む。2勝2敗と、W杯女王としては不本意に終わったアルガルベ杯について聞くと、言葉は淀みなく溢れてきた。

――結果は9位でしたが、どのような感触を得たのでしょうか。

「個人的には、最後のアイスランド戦(2-0)に良くなるためのヒントが詰まっていたと思います。4-2-3-1にした後半、鮫ちゃん(鮫島彩)が水を得た鮫(笑)のようにサイドを駆け上がったり、しのさん(大野忍)がボックス内でドリブルで仕掛ける姿を見て、久々にワクワクしたんです。みんなが伸び伸びサッカーをしていて『あ、これがなでしこだ』って。あの試合は1つのきっかけになると思います」

「縦に速く」がコンセプトだけど、そればかりではダメ。

――今大会に臨むチームのコンセプトは、どのようなものだったのですか?

「『縦に速く』ということです。(監督は)『相手ゴールの近くでボールを持ちたい』という考えがあるので、その点を強く印象づけたミーティングや練習をしました。ただ、そればかりになってはダメですし、もっと状況に応じた使い分けをしていかなければいけないと感じた大会でしたね」

――初戦のデンマーク戦(1-2)は開始2分で失点してしまいました。

「試合の入り方は絶対に直さなければいけない部分ですね。相手が前からプレスをかけて来て、裏を狙うのか、ボールを大事にして繋ぐのかという意識合わせができていなかった。また、これがW杯本番だとして1-2で終わるのと2-2で終わるのでは全然違うのですが、追いつけなかったのも今の日本の実力かな、と感じています」

――フランス戦(1-3)は、なでしこらしい連携から先制。川澄選手のゴールキーパーの逆をついた鮮やかなゴールでした。

「大儀見(優季)選手からハイボールが入って、菅澤(優衣香)選手が相手2人を背負って倒れながらもいいところに落としてくれたので。トラップしようか迷ったんですが、まだ日本のシュートがなかったので足を振ってみようと。適当に打ったんです(笑)。後で映像を見たら後ろに相手ディフェンダーが来ていたけど、あの瞬間は気づかなかったので、打って良かったです」

【次ページ】 相手は“日本対策”を立てているというよりも……。

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