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野球にさよならをする最後の1年間。
~ジーターは“素顔のキャプテン”~ 

text by

幅允孝

幅允孝Yoshitaka Haba

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photograph byWataru Sato

posted2015/04/30 10:30

野球にさよならをする最後の1年間。~ジーターは“素顔のキャプテン”~<Number Web> photograph by Wataru Sato

『JETER 素顔のThe Captain』デレク・ジーター著 クリストファー・アンダーソン写真 広岡勲訳 岩崎書店 3200円+税

 僕たち日本人が、背番号3ミスター・ジャイアンツといって長嶋茂雄を思い浮かべるのと同じ。MLBの世界では、彼の引退によってこんな伝説が誕生した。背番号2ミスター・ヤンキース、デレク・ジーター。

『JETER 素顔のThe Captain』は、ジーター最後のシーズンに密着した未発表写真と過去の名シーン、そして本人のコメントで構成されているフォトブック。試合中の写真だけでなく、自宅でくつろぐ風景やトレーニング中など、さまざまな表情のキャプテンを眺めることができる。

 本書の見どころは多々あるが、中でも写真に添えられるジーター自身の言葉が実直で面白い。自叙伝のような重厚さはなく、彼と会話を交わしているような軽さが魅力なのだ。バリカンを使い自分で髪を刈っている写真の横には、「必要に迫られて」ではなく、「好きでそうしている」と強調。若くして髪の毛が薄くなったことをジョークに包んで告白している。松井秀喜と抱擁している写真では、松井の負けず嫌いについてジーターが言及。当時未婚だった彼らが「誰が最初に結婚するか」で賭けをしたところ、松井は2日後に結婚してしまった逸話を語る。

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